パン/パン業界情報、イベント

フランスパン友の会「パンのある食卓」講演(3ページ目)

フランスパン友の会主催の先日の講演会では、チーズ、蜂蜜、ハムなどパンを取り巻く食材を扱う人々からパンのある食卓についてさまざまな提案がありました。おいしくパンを食べるのに役立つお話をレポートします。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

最近のフランスのパン事情

パン食推進のポスター。 「パンがなくなったら明日からあなたは半熟卵をストローで食べなくてはならない」
ベーカリーにサンドイッチ、お惣菜、サラダ、菓子、カフェなど兼ねる店が増えている
「フランス人にとってのパンとは、水のようにその存在を意識しないもの。 質や食べ方にさほどこだわらないものの、なくてはならない日常必需品」 という話から始まって、最近のフランスパン事情を教えてくださったのは 日仏商事の筒井ミシェルさん。

日常必需品のパンをどこで買うのか?というアンケートで、「職人のいるベーカリー」と答えたフランス人は全体の67%。理由は近いから。遠くておいしい店は行かない?という問いには「5分以内なら行く」との答え。そう、フランスにはたくさんのパン屋さんがあるのです。 ベーカリーの次がスーパー、その次がポワンショー。焼成のみを行う販売店舗のことで、増加中なのだとか。

食の多様化、労働力減少などで、一時は質と消費量が低下したフランスのパン。材料メーカーの技術開発によってスーパーでもそこそこのパンを焼けるようになり、健康ブームで消費者のパンへの関心が高まり、消費は多少持ち直したそうですが、純粋なベーカリーにとっては、業態の多様化による競争の時代が始まっているようです。

ベーカリーでありながらハムやチーズを売る、ブランチの提案をする店、惣菜店を兼ねる店、バラエティ豊かなサンドイッチをオンデマンドで販売する店、食のセレクトショップなどが人気で、フランスの街のなかに増加傾向にあるそうです。

フランスパンの普及

4人の話に共通していたことは、パンのおいしい食べ方を もっと知って提案しようということでした。

その商品をよく知るつくり手、あるいはお店の人が「こういう風にして食べるとおいしいですよ」と教えてくれることは、消費者にとってうれしいこと。それによって未知のおいしさを知ったり、苦手だと思っていたものが好きになることがあるからです。

パンはそれひとつだけでは食事として成り立たないもの。さまざまな食材との組み合わせによって生かされ、よりいっそう味わいを深めていくものだと思います。
消費者が自在に食事パンを楽しめるようになり、パン屋さんが新商品開発に頭を悩ますことなく、プレーンな食事パンをよりおいしく、いいものにすることに力を注ぐことができるようになったら、日本のパン文化も成熟したといえるかもしれません。そんな日はそう遠くないような気がします。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます