パン/パン業界情報、イベント

志賀勝栄氏に学ぶパン作りと女性職人の仕事(2ページ目)

パン業界の女性が立ち上げたクラブ ド サントノーレ主催、志賀勝栄シェフによるセミナーのレポート。参加者全員がバゲットなどを実際に成形し、チーズやワインとの相性を体験します。女性の仕事についての講演も。

清水 美穂子

清水 美穂子

パン ガイド

2001年より、美味しいパンのある日常の愉しみ、パンとそれをとりまく人々の物語など、bread+something good(パンと何かいいもの)をテーマに執筆。興味があるのは職人の仕事と伝統文化。パンを愉しむ企画のコーディネイト、執筆多数。雑誌、書籍にて活動中。

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セミナーで実演されたパン

セミナーで実演されたパンをご紹介します。

独自の低温超長時間発酵の製パン法を持つ志賀さんからひとこと。
「 イーストにとって働きやすい28~31℃がおいしいパンになるとは限らない。時にはあえて温度を低くすることもあります。工程管理を考えて、酵素(乳酸菌のphや酸度)がどうなっているのか想像していくことで、望む味が出せるのではないかと思っています。やり方はいろいろ。広く考えたらいいと思います。」

バゲット(奥)
カイザーゼンメル(手前)

ブロッチェン(奥)
アインパッケン(手前)


バゲット

20℃で24時間発酵、生イーストを0.2%以下におさえた長時間発酵のバゲット。 朝早く厨房に入らなくても妥協しないバゲットができ、一日の仕事が朝に集中しない。 エポワスやモンドールと好相性。

カイザーゼンメル
ドイツの朝食用プチパン。「3~8%の細挽きライ麦粉を入れると面白い味になる。 1~2%の違いで味が変わるので商品開発の人は試してみてください。」と志賀さん。 ライ麦を感じず、ひきもなく、たべやすく、いろいろなものをトッピングするたのしさのあるパン。

ブロッチェン
分割機で落として切るだけのパン。かんたんにまとめるだけでよい。 ドイツのカフェではこれにバター、ジャム、コーヒーをあわせてシンプルに食べる。 いろいろなかたちにでき、ツイストにするとひきがでる。 きびら(精製されていないさとうきびの砂糖)3%使用。

アインパッケン
ドイツ語で「くるむ」という意味。ドライフルーツとナッツ入りの生地が焦げやすいので別生地でくるむ。(写真参照)
フィグは赤ワインとスパイスで煮たもの。他にくるみ、ローストしたアーモンドプードル、保湿性を良くするレストブロート(パン粉)も入る。 マスカルポーネや塩分の多いチーズとあう。

セミナーで紹介されたチーズ

セミナーで紹介され、パンとワインとともに試食したチーズは以下の通りです。

奥からモンドール、ブルー・デ・コース、ブリア・サヴァラン

奥からコンテAOC、エポワス


モンドール

ウォッシュタイプ。 製造の季節が8/15~3/31に限定されている。とろとろで豊かな味わい。すくってバゲットに載せて食べると最高です。前のページの写真にあるようにさっと焼いてもよい。

ブルー・デ・コース
青カビタイプ。 ロックフォール(羊乳)の牛乳版、塩味が強めでシャープな味わい。はちみつを添えて。

ブリア・サヴァラン
フレッシュタイプ。 クリーミーで癖がなく、きめこまやかでリッチな味わい。フルーツやジャムとデザートにも。わたしはワインジェリーとあわせました。

コンテAOC
加熱圧搾タイプ。 ナッツのような香りとミルクのコク。フランスAOCチーズのなかでトップの生産量。そのまま薄くスライスして楽しむほか、ハムとカスクルートにするのもおすすめ。

エポワス
ウォッシュタイプ。熟成のしあげにマール酒で洗う。外皮は強い香り、中はミルクの甘み。志賀さんのつくる、味の濃いバゲットによく合う。

クラブ ド サントノーレの主催者(左から)橋本さん、立木さん、宗平さん、井上さんと初回講師の志賀さん



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【第二回】いがらしろみさんに学ぶジャム作り
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