パン/パン屋さん取材レポート(西日本)

福岡のベッカライ&コンディトライ・サイラー サイラーのオーストリアのパン

オーストリア人マイスター、アドルフ・サイラーさんが、福岡のお店から東京のあるパーティに招かれ、パン作りの実演をしました。シュトレンの他、ツヴィーベルクーヘンなど珍しいパンも披露されました。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

南青山にあるドイツ製システムキッチンのショウルーム、bulthaupのパーティで、福岡のベッカライ&コンディトライ・サイラーのオーストリア人マイスター、アドルフ・サイラーさんがパンのデモンストレーションをされるというので、取材に行きました。

シュトレン

bulthaupの建物の外にはグリューワイン(ホットワイン)の即席スタンド。これはドイツのクリスマス市の名物で、含まれるスパイス同士が呼び合うかのように、シュトレンと好相性でした。


ドライフルーツを混ぜる成形する
焼成後バターを塗るグラニュー糖をまぶす粉糖を振る

シュトレンに入れるのはラムレーズン、レモンピール、オレンジピール、アーモンド。生地にはマジパンが練り込まれています。とてもシンプルに感じました。

ツヴィーベルクーヘン、プレッツェル

ツヴィーベルクーヘンキッシュ(シーフードや野菜)

ツヴィーベルクーヘンは玉ねぎのケーキ。でも砂糖が入っているわけではありません。ベーコンとニンニクで飴色に炒めた玉ねぎを、キャラウェイやマスタードで風味づけしたサワークリームと卵のソースと共にパン生地にのせて、天板いっぱいに焼くというものです。砂糖はなくとも玉ねぎの甘味の効いたパンです。これはノイワイン(ニューワイン)と共に9月頃に食べるパンなのだそうです。

プレッツェルライ麦60%のパン

プレッツェルはカイザーゼンメルと並んでサイラーさんの店で一番人気のパン。 こうばしく、アルペンザルツ(塩)がアクセントとなってパンの味をひき立てています。これは無塩バターやソーセージと、とてもよく合います。

オーストリアのパン

この記事でご紹介したパンのほか、オーストリアのパンといったらウィーン(Vienne)生まれのヴィエノワズリー(Viennoiserie) があります。クロワッサンやデニッシュなど折込み発酵生地、あるいは卵、砂糖、バターが入ったブリオッシュなどの発酵生地で作られたパンのことですが、これらはすべてオーストリアで発祥し、フランスやデンマークなど周辺諸国へ伝わっていったのです。

福岡のサイラーには、たくさんのオーストリアの日常のパンがあるそうです。 カフェが併設されていて、オーストリアのケーキやコーヒー、アイスクリームも楽しめます。いつか是非行ってみたいと思いました。

職人として最初に日本に招かれてから10年後、日本のパンを焼くのではなく、オーストリアの食文化を伝えたいとの思いから独立してさらに10年。何のためにここにいるのか、とサイラーさんは常に自分に問いかけます。 日本で本当のヨーロッパ伝統のパンを伝える職人の存在は、とても貴重です。

アドルフ・サイラーさん
■サイラー
http://www.try-net.or.jp/~sailer/

福岡市南区長丘2丁目1-5
TEL 092-551-7077

営業時間 7:00~20:00

オーストリアにあるサイラーは1913年創業。
現在は弟さんが引き継いでいるそうです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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