夜の蕎楽亭うどんも美味い蕎麦屋 第一回 蕎楽亭(きょうらくてい)蕎麦店の最近のトレンドは自家製粉。蕎麦粉のコントロールを自分が納得できるまで行うために蕎麦の産地、生産者と契約している蕎麦店も珍しくない。蕎楽亭もそのこだわりの蕎麦屋である。しかし今回訪問して驚愕の真実を知ることになった。小麦も自家製粉店頭の打ち場には電動の石臼が置かれている。蕎麦粉を挽くためのものとは想像できるが小麦も挽くそうだ。これには恐れ入った。半端な量を挽くわけではない。打ち場と石臼店で使う分を挽くだけでも相当な時間と労力が要るだろう。全粒粉から篩にかけて必要な小麦を採取するには篩いの作業だけでも気が遠くなりそうだ。蕎麦の自家製粉も大変だが小麦を自家製粉するというのはその手間を考えたらうどんのコストをトコトン上げてしまうだろう。ほとんどは人件費と思われる。驚きの自家製粉うどんは農林61号ベース小麦は茨城産の農林61号と群馬産の農林61号。そして現在はテストとして群馬産の絹の波もブレンドしているという。長期熟成の末にできるうどんはいわゆる農林61号とはかけ離れた洗練された食味のものだった。うどんは細打ち。3ミリから4mmつやつやのあめ色。透明感がある喉越しが良いものである。ほのかな塩味。味の乗っているうどんで弾力も申し分ない。絶妙の茹で加減とみた。氷を投入しているのを見たので締めは急冷+水洗いのようだ。かなり丁寧に念入りに洗っていた。手打ち冷麦もう一つ名物がある。冷麦である。並蕎麦と冷麦のあいもり手打ちで作られる冷麦は素麺と呼んでもよい細さでキラキラと光り輝く。もっちりとした弾力と細さに似合わないようなコシの強さ。そしてこれも農林61号とのこと。細さは根津の釜竹の細打ちと拮抗するが真っ白な釜竹に大してこの淡い褐色の麺はまた確かな存在感を持つ。くっきりとした淡色のうどんだしに良く合う。淡口醤油の塩加減とほんのり感じる味醂の絶妙のバランス。色・味・申し分ないうどん、冷麦用のつゆである。カレーうどん20数種類のスパイスや果物を調合するというカレーうどん牛すじの煮込みの入ったサラサラ系カレーうどん。かなり辛い方だと思うが・・・私は辛いのが苦手ということを考慮して話を理解して欲しい。甘みは無くすっきりした後味。油っぽさも無いのでさらっと入る。濃縮豆乳を仕上げに入れる。ヨーグルトかと思うほどの独特の風味。良く煮込まれた牛すじを噛み締めるととろけるように旨みがほとばしる。かなり手の込んだ一品であろう。うどんは・・・カレーうどんとなるとうどんの個性はほとんど消えるがコシは十分。個人的にはカレーうどんにはもう少しくたっとしなやかさと優しさが欲しい。これは好みの問題であるのでここのカレーうどんが大好きと言う人も大勢居ると思う。蕎麦定番のざる蕎麦さてこちらが本命。当然お客さんの目的はこちらのほうが多い。蕎麦は思っていたよりも盛が良くあっという間になくなるという種類のものではない。推定生麺で180g程度はあるのではないか。並蕎麦はニ八蕎麦のようで黒めで星もある。十割蕎麦はより黒く、2つの味を楽しめる2色そばが人気のようだ。蕎麦はご主人のふるさとの会津産や茨城産。店頭の臼で製粉する。辛汁は少し薄色の透明感の有るもの。甘みは強くなくくっきりとした味。素材は利尻に枕崎の本節と干し椎茸にイリコとある。イリコが入るのは珍しい。もっともイリコの風味はほとんど無い。丁寧に下処理されているのだろう。江戸蕎麦の粋を感じさせる。蕎麦湯で割ると味が膨らむ。天ぷら目の前で揚げたてを順に出してくれる天ぷら屋さん風のくふうはカウンターに座ったときの特権か。活才巻海老2本・野菜3点・穴子、アツアツを塩で食べる。蕎麦屋での幸福な時間が流れるかも。ゆったりした気分と時間の余裕を持ち、お酒も飲める準備をして出かけたい。つまみ系メニューメニューは豊富で30種類を数える。多すぎない量で居酒屋的なボリュームはあえて避けているように見える。それでも多品種の食べてみたいと思わせるメニューが大変多い。ついつい長居してしまいそうだ。●白海老のから揚げ富山産の白海老を軽く衣をつけてあげている。一尾単位で揚げている様でかき揚げではないがかすかに衣に塩味が付いているようで美味しい。レモンが添えられている。ざるうどんと白海老から揚げ締めには蕎麦かうどんは必須。するっと入って明日の活力になる。【蕎楽亭データ】住所: 東京都新宿区神楽坂3-6 神楽坂館1階 電話: 03-3269-3233 定休: 日曜・祝日 平日: 11:30 - 15:00 / 17:00 - 21:00土曜: 11:30 - 15:00 / 17:00 - 21:00最寄: 飯田橋 / 神楽坂 / 徒歩 5分 蕎楽亭のWEB主なメニューそば・うどんざる系 ざるそば 900円 ざるうどん 900円 ひやむぎ 900円 十割そば 1,000円 めおともり そば&うどん 1,000円 むぎめおと そば&ひやむぎ 1,000円 二色そば そば&十割そば 1,050円 冷たいもの おろし 1,000円 辛味おろし 1,000円 つけとろ 1,150円 肉ざる 1,000円 鴨ざる 1,200円 天ざる 活才巻海老・活穴子・野菜三品 2,200円 季節天ざる (旬の魚貝と野菜) 2,300円 艶やかな光沢があるうどん 温かいもの けんちん汁 350円 かけそば 900円 けんちんそば 1,050円 肉そば 1,000円 鴨なめこそば うどん 1,350円 HOTおろしそば うどん 1,000円 HOT辛味おろしそば 1,000円 天ぷらそば 2,200円 釜あげそば うどん 900円 ※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。