2つの湯
車でくぐる門は限りなく狭いので注意が必要だ。言うまでもないが、明治の時代の建物だ。現代に媚びないその当時の貴族の生活空間にアジャストしないといけない。当時の面影そのままのサロンでいただく柚子ティーは疲れを飛ばすには最高の薬。となりのテラスはには冷たくも冬の澄んだ風は心地よく、そのままガーデンに足を運ぶ。朝は暖かな陽が入るテラス |
海はすぐそこだが、道路が走っているので車のノイズはやや気になるがこれは眺めと波の音で相殺したい。二人で座れる揺り椅子やハンモックはガーデンのメインディッシュか。総支配人の瀬尾光教氏は「晴れた昼も気持ちいですが、月夜にここで揺られながら波の音を聞くのもいいですよ」と話す。
ハンモックの枕も毎日早朝に取り替えられる。 |
シンプルな客室は眼前の青い海を引き立たせるために余計なものは一切ない。一切なさ過ぎるほど何もない。スイートルームにはコルビジェの椅子が日常の家具として置かれているが、それもまた非日常か。
夕暮れ時の海の風景も記憶に焼き付けたい |
ディナーの前には温泉が用意されている。石作りの階段を登り、伊豆山は名旅館「蓬莱」の外湯を利用することができる。蓬莱とヴィラ・デル・ソルは「和の世界」と「洋の世界」として二つでひとつとなっている。外湯は上下2カ所あり、朝と夜で男女交互に入れ替わる。上のほうの走り湯までは結構な石段を登ることになるが酔っているとやや辛いかもしれないが、エスカレータがあるといった便利さは東京の日常だけで十分。ここは潔く不便さの贅沢を感じたい。ヴィラデルソルに近い「古々比の瀧」は建築家、隈研吾氏設計の屋根着き露天風呂だ。