加賀料理とフランス料理の融合
日本料理とフランス料理の融合という旗の下、様々な試みが日本、そしてフランスで繰り広げられる時代になった。料理は国境を越え、人種や世代も超え、アメーバのように拡散していく。インテリアも随所にフランスと日本を散りばめている |
アラン・デュカスはもう随分と前から日本の料理に関して興味を持ち、昨年より日本料理界を代表する料理人と一緒に極めて高いレベルのガストロノミーの実験として食文化の交流を表現している。ベージュ アラン・デュカス 東京はフランス企業同士のコラボレストランとして銀座に時を刻むが、基本的な考えは日本とフランスの食文化の融合の場ではないかと捉えている。融合という言葉は極めて曖昧だが、そのバランス感を崩さずに良質の時間とガストロノミーを提供する意味でデュカスの銀座での活動は非常に意味があると考えている。
さて、今回はLes Rendez-vous culinaires japonais「ランデヴー ~ 日本料理名店との饗宴」ということで、金沢で和食店「銭屋」を営む高木慎一朗氏とシェフ、ジェロームとの料理の、まさに饗宴が繰り広げられている。
加賀は百万石、能登は天領というように石川県は非常に恵まれた文化がはぐくまれ、料理も京風と江戸風の融合というべき独自の料理を産み出してきた。そもそも石川県は北前船の拠点でもあり、その北前船は日本海の食材物流を取り仕切り、これによって石川県には全国各地の物品が運ばれてきたという背景がある。
高木慎一朗とジェローム・ラクレソニエール |
これまで『美山荘』の中東久人、『祇園さゝ木』の 佐々木浩との饗宴をこなしてきたが、私は今回の加賀料理との饗宴が個人的には一番興味があったのだ。それは加賀特有の素材をフランス料理の中でどう使いこなしていくのかという興味が会ったからに他ならない。加賀蓮根、源助大根、金時草などブランドとなっている野菜も多く、それらに加えこの季節の魚がどういった形で皿に盛られるのかがたまらく楽しみであったのだ。ちなみに石川県は以前より県を上げて野菜や魚介類を首都圏で流通させる地道な努力を続けており、実際、多くの飲食店で扱われており、その評価はかなり高いものとなっている。