フレンチ/東京のビストロ

【閉店】瀬田亭(代田橋)(2ページ目)

安易な和風フレンチではなく『日仏融合料理』。繊細な中に、実に力のある本物の料理がここにある。料理に癒されにわざわざ出掛けてみたい小さなレストラン、瀬田亭。料理教室も魅力です。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ソースに醤油を

まずは淡路島から届いた「タコの柔らか煮」。こう書くと居酒屋料理のようだが新鮮なタコの出汁、ほのかな潮の味はフランス料理の技術そのもの。ただし、脂とバターは使っていないようなので、味わいはとても日本的に見えたりもする。瀬田亭は日仏融合料理なので、フランスとか日本とか境目をいじるよりも、その料理が身体にすーっと入っていくのかどうかというのが大切だ。この料理をひと言で表現すると上品さ以外思い当たる言葉はない。
タコ
ソースがほんとうに優しい
合わせるワインは南仏のジョルジュ・ブランのワイン。軽やかな味わいの中に少しだけ切れ味も感じられるお手軽なワイン。瀬田亭のワインリストはほとんどがプロヴァンスのワインで占められている。ボルドーやブルゴーニュはほとんど見当たらなかったが、その分持込には寛容なようだ。

クレープの上の乗るビビッドなホタテのサラダには醤油が仕込まれている。オニオンベースの甘酢っぱいドレッシングに、これ以上ないくらい微妙に絡められた醤油の味わいが舌の先から身体全体に伝わり落ちる。言われないとわからないが、言われると明らかに醤油とわかる程度の味わいが実に心地よい。
サラダ
醤油の奥深い魅力も伝わる料理
このドレッシング、いやソースでこれからの季節の牡蠣などいただきたいものだ。シーフードの旨みを引き立てる新しい味わいのソースの発見だ。

カウンターの先の厨房には老練なシェフが1人。サービスはマダムが担当だ。入口奥に個室があり、家族連れの楽しげな声が漏れる。テーブル席は2つ、カウンターが5人がけ位か。スペースの割りには余裕の席の配置になっている。
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