ダイニングへのパサージュはハレの気分を盛り上げる |
アラン・シャペル
フランス料理界に多大な影響を与えた料理人はまだまだこれからという1990年に52歳で急逝し、今や伝説とも謳われるほどになった。「素材の持ち味を大切に、何を食べているかわかる料理を」という哲学は、大御所アラン・デュカスをはじめとする弟子達に引き継がれ、日本でも上柿元勝、三國清三などに受け継がれている以前デュカス氏に「最も影響を受けた料理人は誰か」と聞いたときに即座に「アラン・シャペル」と答えたときのインパクトは未だに強く脳裏に焼きついたままだ。デュカスに限らず料理を形作る素材にこそ料理の原点があるということは、今でこそ当たり前に聞こえるがその当時から絶えることなく受け継がれてきたことだけは確かだ。
フランスはリヨンの郊外ミヨネ村にあるオーベルジュ、アラン・シャペル。現在はフィリップ・ジュスがミシュラン2つ星を守り、シャペルの哲学をベースに独自の世界を作り続ける。
テーブルまわりも実にゆったり |
アラカルトの中にあるシャペルのスペシャリテ「オマールのサラダ」は意外なほどにシンプルだ。小さなアミューズのあとに届けられたボリュームあるサラダのソースはオマールの殻から取ったものをベースにビネグレットとマスタードで軽く風味をつけたもの。小さなトリュフが風味をかすかに漂わせつつ、ビネグレットの香りが食欲をぐいっと後押しする。
忘れられないソースの味わい |