フレンチ/フレンチ関連情報

食べることを知る時代に向けて(2ページ目)

フードコミュニケータ、柴田香織さんが提唱・実践する「フードリテラシー研究会」の活動のことについてご紹介させていただきます。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

北岡シェフ
巨匠北岡シェフの熱いトークも面白い

豚肉の特徴とは?

研究会の目的はこう書かれている。

『Food Literacy研究会では、生産から口に食べ物が入るまでの過程を食文化と捉え、日常食べる機会の多い「基本食材」に焦点をあて、ワークショップを段階的に実施します。身近だと思っていた食品・食材を如何に知らないか、自然や人の知恵が如何にすごいかに驚きながら、よりおいしく食べる楽しみを追求するのが会の目的です』

簡単にまとめると、
『毎回ある食材を主役に「食べておいしく、知っておいしい」ワークショップ』というもの。今回ご紹介するテーマ食材は「豚肉」(サブ食材:キャベツ)だ。

BSE、鳥インフルエンザの後、豚肉のプレゼンスは高まり、 今や多くの銘柄豚も増え、レストランでもメインやスペシャリテとして扱われることが 多くなってきた。今回は広尾にあるフランス料理店プティ・ポワンの北岡シェフから食材の目利き、扱い、調理のポイントを研究。 サブ食材はキャベツ。アルザスのシュークルート、四川の回鍋豚と寒い場所では豚とキャベツは黄金コンビと言われるが、その素材の魅力を知ることが目的だ。

その日私は遅れることをお伝えはしていたが、開始時間より30分の遅刻!と同時の自己紹介も緊張の余り、脂汗をにじませる始末。ああ、情けない。

ということで、その時間には北岡シェフの講義が始まっていた。

□ 豚と食文化(講義)
□ 豚肉比較テイスティングと目利き術 (みやじ豚、スーパーの豚)
□ キャベツ比較テイスティング (春玉、寒玉)
□ みやじ豚、キャベツを使ったアントレ、メイン、デザート、カフェ、ワイン


今回使うのは、このところ非常に人気が出てきた湘南の「みやじ豚」。一言で言うと慶應義塾大学湘南キャンパス出身の宮治氏が実家の養豚農家を継ぎ、豚にストレスを与えない丁寧な飼育方法で生産する、非常に繊細な味わいをもつ豚肉のことだ。偶然にも年初にこの豚と出会い、お取り寄せネットで紹介しているほど私もこの豚のファンでなのである。

まずは塊全体の部位を見て、脂身などを実際に手で触り、その触感を確かめるところから始まる。素材となる肉を調理前に手で触れることは余りないだけに、その大きさに驚く。
試食の皿には、同じ条件でローストされた豚肉が2種類並ぶ。一つはみやじ豚で、もう一つはスーパーなどの店頭に並ぶいわゆる普通の豚。北岡シェフの講義とテキストから抜粋してみよう。

豚は頭から尻尾まで全部食べられるため、多様な調理が可能。たくさんの肉が取れるため長期保存するためにすべての部位を塩漬けにする時代があった。

雑菌を残さないようにするため、中まで完全に火を入れて調理する。

フランスでは家庭料理の主役であったが、肉の高品質化に伴い高級レストランでも取扱いが増えてきた。

ソーセージやハムなど加工品として作りやすい食材であった。

日本では85年に自給率が85%あったものが01年に55%にまで下がる。品質がよい輸入豚に対抗するために、飼育や環境づくりの工夫により銘柄豚の生産が始まる。

さて、実際の試食の様子を見てみよう。
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