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地中海料理の本質を(フードフランス)(3ページ目)

南仏はニースからやってきたミシュラン一つ星シェフ、ヨウニ・トルマネン。シンプルだが奥の深い地中海料理を抱えて初来日です。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
茄子は地中海料理に欠かせないもの

シンプルな地中海料理

デジュネにはリゾットメニュー、ディナーにはイカスミのフレッシュパスタがある。フレンチとイタリアンと融合ではなくこれは地中海料理として捉え、伝統的な技法と素材のモダンな組合せにより、イタリアンとかフレンチとかいう垣根をあっさりと飛び越える。

国境のない日本にいると見えにくい部分もある。ヨーロッパは様々な国の集合体という捉え方よりも、それぞれを地方に見立てるととんでもなく奥行きのある美食ワンダーランに見えてくる。地図を見るとその中心が地中海沿岸であることがわかるはずだ。

メインディッシュは6時間かけてローストした仔羊を米茄子に載せてチーズと共に焼き上げたピッツァ仕立て。米ナスは普通ナスとの違いは、実がしまっており、クリーミーな食感が特徴だ。味わいが染みた羊がチーズと溶け合い、そのこうばしい香りはほんのりと漂う。ボリュームたっぷりに見えるが、意外とするりと喉を通る一皿でもある。

デザート
ルバーブのマリネが全体を引き締めるデザート
彼のレストラン「レゼルブ」があるニース。私が初めて訪れたのは1985年の冬だ。パリの寒さを背負ってやってきた南仏の地は煌くほど暖かく、海は光り、プロムナード・ザングレ(英国人の散歩道)は優雅に散歩するカップルや老夫婦で賑やかだった。ボーリュー。シュール・メールに住んでいた友人宅に転がり込み、翌朝窓を開けたらまるで映画の世界のような光景が手に取ることができる距離で輝いていた。彼の経営する花屋を手伝い、夜は近くのビストロで牡蠣をこれでもかと食べた日々。まるで夢のような日々が過ぎていった。地中海という世界を代表するグルメなエリアは就職前の私を刺激するには十分な世界だった。

ヨウニ・トルマネンのレストランはその地中海のすぐ近くだ。厨房からも地中海が見えるらしい。なんという贅沢な環境だろうか。それが料理へのインスピレーションのもとだとしても、彼がこれまで歩んできた「ルイ・キャーンズ」など数々の名店で経験があってこそ。

ヨウニ・トルマネン
この夏は彼の料理とテラス席に流れる地中海の風を感じに久しぶりにニースに行ってみたい気になった。

フードフランス
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山 10階 ブノワにて
5月22日(木)~5月27日(火)
ブノワの紹介記事
予約Tel:03-5468-0881
ランチ  8,400円 (税・サ込)
ディナー15,750円 (税・サ込)
(料金には食前酒ならびにコーヒー又は紅茶付)
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