烏骨鶏のコンソメ
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ほとんどが丸テーブルで外の風景が楽しめる |
静かに静かにエネルギーがぐっと滲み出る料理が続く。そうか、これはテロワールなのか。その土地の持つ力が染みこんだ素材を、熟練料理人の技術で歴史あるフランス料理に変る。そしてそれが食べている人にストレートに伝わる。
ふと考えた。東京でいつも食べる料理にはテロワールがあるのだろか。。。
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不思議な味わいだが身体にすーっと染みこんでいく |
サービスはマダムが1人であたる。恰好のよい饒舌なマダムはフランス料理の歴史、この土地、素材についてたくさんの話をして下さった。なんとなく自分の母親が側にいるようでこそばゆかったのだが、とても楽しく可愛らしい方。その日のランチは私一人。私一人のためにシェフは素材を集め、朝早くから仕込み、マダムは到着時間に玄関で待ってくれている。これを贅沢といわず何と言おうか。
スープは烏骨鶏のコンソメ。小さなアワビが添えられ、スプーンで一口喉を通す。うーん、これは漢方とも言えるような不思議な味わいだ。身体の余分な脂が一瞬で流されるような気がする。一口味わった先にマダムがトマトベースのソースを軽くかけると、これまた味覚がぐぐっと覚醒する濃厚さに全神経が集中する。料理人の熟練技が冴え渡る、これぞ究極の一品と言っていい。
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とにかく肉質が最高だ |
メインは四国の牛肉と筍のソテー。ソースはバターががっつりと効いた濃厚なもの。これまでの軽やかでかつ余韻の長い料理をすっ飛ばすメインディッシュだ。近くに竹林がたくさんあったことから、近くのものかと思いきや、この辺の筍は苦味が目立つため、別のところに採りに行っているとのこと。脂身の押さえられたピュアな牛肉にこれまでとは違う食欲が沸き立つ。
デザートも期待を裏切らないもの。ムースの中にはウンタンやマンゴーが隠され、スプーンで食べ進むごとに小さな驚きが連続する。
遠方から多くの著名人が出かけてくるという。少しばかりの隔絶感、そしてテロワールを感じる料理。好きな人ははまるだろう。