一つひとつにほっとする味わいが隠されている |
奥村直樹のフランス料理
アミューズには一つひとつに何か懐かしい味わいを感じる仕掛けが満載だ。焼茄子にオクラ、そこにほのかなジンジャーが添えられる。白アスパラには黒ゴマのソースだ。個性の強いソースだが、決してアスパラの風味を殺すことはない。白アスパラが持つ甘みと苦味はほんのりとしたゴマの味わいに包まれ、不思議な余韻に包まれる。筍風味のクリームスープは後味に残る筍が出しゃばらずにギリギリのところで寸止めされ、もうちょっと飲みたい!という欲望を気持ちよく無視してくれるものだ。サラダ仕立ての色合いも美しい |
今日の一番はこれだ。ディナーメニューからの一皿。 |
同じくディナーメニューからオマール海老とアスパラガスのシャルロット(前頁)。ホワイトアスパラのムースが詰められ、トマトのクーリが添えられる。今が旬のアスパラをふんだんに使った料理だが、オマール海老のぷりっとした食感が季節を感じる味わいを彩る。
上品に仕上げたカレー風味のソースが印象的 |
赤座海老はポテトで包まれ、クスクスが添えられる。カレーソースとあったが、これまたストライクゾーンギリギリのところを攻めてくる繊細な味わいだ。単純に「旨いよね、この料理」と語り合えるものだ。これも何か懐かしく、どこかで食べたようだけど思い出せない、でも決して食べたことのない料理。
香りが沸き立つようだ |
デザートで盛り下がるのは許されないが、奥村シェフは最後まで息を切らすことなく突っ走ってくれた。フルーツのグラタンにサバイヨンソース、大葉のソルベに黒ゴマのフィナンシェケーキ。いろいろ載せられたデザートを楽しみたいのが日本人。あっち食べてこっちも食べるスタイルが好きなだけに、彩りの豊かさとも重なってしっかり満足。
個人的にも大好きなフルーツグラタン |
「京都に行きたくなったよ、わたし。」
フランスと東京、そして京都がつながった瞬間だったかも知れない。
<あとがき>
今回の奥村シェフの料理は4月28日(月)までランチ、ディナーともに青山のブノワで楽しめます。今回の料理、一言で言いますと「いや、ほんとうに旨かった!」。さすが京都の料理人。さあ、次回からのフランス人シェフたちは奥村氏に勝てるかな?と興味津々であります。
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山 10階
ブノワの紹介記事
予約Tel:03-5468-0881
ランチ 8,400円 (税・サ込)
ディナー15,750円 (税・サ込)
(料金には食前酒ならびにコーヒー又は紅茶が含まれます)