フレンチ/東京のレストラン

アンブローシア(京王プラザホテル)(3ページ目)

新宿西口は京王プラザホテルのメインダイニング、アンブローシア。1971年の開業以来、日本におけるフランス料理を実直に広めてきたレストランです。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
特にアサリのラタトゥイユは印象的

ひと工夫された繊細な味わいに

アミューズは視覚的にも味わいも実に楽しい一皿だ。アサリのラタトゥイユ、春菊を忍ばせたニンジンのスープ、甲イカと豆の軽い煮込みなど、食欲を高める仕掛け十分の小さな料理達がふわりと皿の上を踊る。

前菜の前の一皿はとても大切だ。ここで「!」と思わせるかどうかでそのあとの料理の印象が大きく変ってくるといっても過言ではないだろう。


シャンパーニュ
フレンチである限り決め手はソースにある
前菜はルノアールが晩年を過ごしたコレットの庭の風景をイメージした『仔羊とフォアグラのトゥルト』。仔牛とフォアグラをパイ包みにしてトリュフを散りばめたソースは定番の相性だが、そこにハーブの色彩が一つ加わるだけで料理の印象は大きく変り、皿からは沸き立つ力が感じられる。これはやはりソースにあるのだろうか、オリーブオイルを忍ばせた余韻の長さは心地よく、そしてそれを綺麗に流すシャンパーニュの余韻も忘れがたいものとなる。


フランス料理
レモンのソースが全体を引き締める
スープは手がかかる料理であるが故に一時期は影を潜めていた時期があった。しかし、完成度の高いスープはその一口で食べる側の頬を緩め、気持ちの中に明らかな幸せを運び込む。なんてことのないジャガイモとソラマメのスープであるが、ほっと一息つけるシンプルな料理だ。刻んだミントの葉もいいアクセントになり、味わいが心地よく重なり合う。

ホタテは天然モノがいいな、というのは贅沢だろうか。日常的な素材だからこそ工夫が必要な素材の筆頭格、ホタテ。ここではラングスティーヌとの組合せに黒米の食感を加えることで、皿全体のクオリティを高めている。レモンのソースを主体にすることにより、この季節に柑橘系の爽やかさを表現したシェフのアイデアはなかなかのもの。

フランス料理
適度に熟成させた仔羊の香りが飛んできそうだ
現代的な軽めのソース主体の料理だが、メインディッシュにもその流れをいい形で持ち込んでいる。エシャロットと赤ワインのソースは羊のジュをバランスよく混ぜ込み、そこそこの満腹感をしっかり味あわせてくれるものだ。アニスやバジルのフリットもいいアクセントになっている。
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