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驚くべきアスパラ料理(フードフランス)(3ページ目)

今年もフードフランスが青山のブノワで始まった。オーヴェルニュ地方はクレルモン・フェランからやってきた料理人、フレデリック・クールソル。人懐っこい笑顔は恐ろしく創造性に富んだ料理を運んできた。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

アスパラガス
タンニンを効かせた白アスパラガスを真鯛のカルパッチョと共に

これ以上有得ないマリアージュ



オーヴェルニュ地方ではガメイ種を使ったワインが作られていることは日本ではあまり知られていない。その赤ワインに浸して、ガメイの味わいと色をつけた白アスパラにはほのかな苦味が残り、そこに小さなオレンジの風味がほんのりと忍び寄る。


ワイン
ピノ・ノワールの白というのもユニークだ
真ん中のアスパラは真鯛のカルパッチョに包まれているのだが、ややきつめのガーリック風味のピュレと共に味わいを絡める瞬間。それは美味しさの記憶が一瞬止まり、五感がすべてその皿に恐ろしいほどに集中する時でもあった。

オーヴェルニュのワインがまた個性的だ。ピノ・ノワール種を使った白ワインはほのかに甘くも沈んだ香り、そして苦味を忍ばせた味わいと共にアスパラが活き活きと動き出す。

この料理にこのワインという非常に狭くも完璧なマリアージュとはこのことか。


フランス料理
スズキをやさしく引き立てるソースが決め手だ
スズキのトルネードは楽しい一皿だ。オーヴェルニュ特産のレンズ豆のソースは優しく、あたたかく、スズキの味わいに寄り添う。ビーツの葉、そして白にんじんの味わいの意外性にも嬉しさを隠せない。

牛頬の煮込みにはカカオの香りのするスフレが乗せられ、純朴な料理に斬新なアイデアを添えて、新しい料理に作り変えている。

良質の素材に確かな技術。そのベースにはフランスと言う国の、食という文化がある。そして料理には確かにオーヴェルニュの風が漂う。少なくとも日本にもパリでもない、その地方の料理なのだろう。

デザート
幸せを運ぶ煌びやかなデザート
フレデリック・クールソルはオーヴェルニュ地方から出たことがない料理人だ。包丁一本で世界中を飛び回るといったキャリアはない。91年よりHotel Radioの厨房に入り、キャリアのほとんどをこのオーベルジュと共に歩んでいる。

パリからクレルモン・フェラン行きのTGVはない。だからこそのんびりと列車の旅を楽しみたい。フランスは食も観光も人も地方の方が断然美味しく、美しく、そして楽しいのである。

フレデリック・クールソルの料理は5月1日(火)まで青山のレストラン「ブノワ」で楽しめます。

デザート
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山 10階 
ブノワの紹介記事
Tel:03-5468-0881

ランチ  8,400円 (税・サ込)
ディナー15,750円 (税・サ込)
(料金には食前酒ならびにコーヒー又は紅茶が含まれます)


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