フレンチ/東京のレストラン

エル ブランシュ(麻布十番)(4ページ目)

麻布十番に忽然と現れたフレンチの新生。白を基調にしたダイニングの奥にはシェフズテーブルとも言える大理石のカウンターがある。ご兄弟で営む白い世界が心地よいエル ブランシュ。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
この鴨だけでも訪れる価値がある

鴨肉の驚き

さて、お待ちかねビュルゴー家のシャラン鴨、胸肉のロティ。はっきり言うが、すごい旨い。もう一度言うが、とてつもなく旨い。一番かどうかは分からないが、これまで胃袋に収めた鴨肉の中でも抜群に旨いことは間違いない。肉質の凝縮感、味わいのキメ細かさ、皮の香ばしさ。そしてリンゴのピューレとの絡み。ワインと合わせてどうのこうの言う前に4枚に切られた鴨は一瞬のうちになくなってしまった。

ダメだ、こんなに旨い肉なら半身全部いただきたい。ちなみにこの鴨は250度位の温度で30分位かけてじっくりと火が通されるのである。高品質の肉はシンプルなソースとほんのちょっとしたアクセントでとてつもなく旨い『料理』に変身する。そんなことを改めて感じることのできる一皿だ。

フランス料理
アールグレイの味わいに加え、オレンジが隠し味になっている
さて、パンもしっかりいただいてこの時点で普通ならそこそこお腹が落ち着くのだが、今日に限ってはどうも物足りない。このところバターや脂などがっしりと使った料理を食べているせいか、健康とか繊細とか言う言葉を忘れていたからかも知れない。

デザートは アールグレイのクレームブリュレ、そしてパッションフルーツとミルクアイスのドーム、赤いベリーのジュレ。どちらも申し分のない味わいだ。

が、しかしシェフの料理はまだまだ始まったばかり。フランス修行時代に経験したこと、ラフェ・クレールで磨いた技術が活かされていくのはこれからに違いない。欲深い私は今のメニューではまだまだ満足できない。もっと先にはもっともっと深い料理の世界に連れて行ってくれるだろう。

デザート
最後に優しい味わいに包まれる幸福さがたまらない
ホールのマネージャーは弟さんが担当。まだワインの種類は少ないが、インポータにこだわり、コレという生産者のものを揃えている。ご自分で設計されたセラーに、気に入ったものを少しずつ寝かせて熟成させていく楽しみは始まったばかりに違いない。

エル ブランシュは開店してまだ10日ほど。開店直後のレストランは瓶詰めされたばかりのワインのようなもの。ゆっくりゆっくり熟成の時を重ねていくのだろうか。

その日は21時過ぎに店をあとにした。どうも麻布十番一帯の夜はこれから始まるようだ。

シェフのフランスでの修行時代、そしてエルブランシュに賭ける思いがしたためられたブログも一見の価値がある。

小川兄弟
Aile Blanche(エル ブランシュ)
港区麻布十番2-8-10 パティオ麻布十番5F
03-5439-4338
18:00~翌3:00  
食事  L.O 0:00
ドリンクL.O 2:00
日と第二月休
コース:6,300円、10,500円(税込)
*オープン当初はコースのみ。
*4月からアラカルトもスタート予定。

<サービス料>
テーブル席、 1,000円/人
カウンター席、2,000円/人


地図
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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