デザートもしっかり
初球の前菜はストレート、2球目の魚もストレート、3球目は同じ握りから繰り出される高速スライダー。ストレートを予想していた私は見事に見逃し三振、いや、全部食べたから、たまたま振ったバットにボールが当たってシェフであるピッチャー前に転がったゴロといったところか。シェフの荻野氏はキノシタで長く研鑽を積んだ方。参宮橋に移転後の繁盛期を見事にサポートし、次なるステップをキャスクルートに見つけたと聞く。ひょろりとした風貌に似合わず骨太な料理を繰り出す姿は躍動感があって食べる側を少なからず驚かせることだろう。食事のあと少し話をしたが、料理と真摯に向き合う真面目な青年。こうした気概ある料理人が様々な修練を経てこれからどんな料理を創造していくのかとても楽しみになる。
苺とマスカルポーネのヴァシュラン
黒胡椒風味が心地良いアクセントに |
デザートも驚くに値する作品。苺のスープに黒胡椒で風味に微妙なアクセントをつけてくるあたり、並みの苺のデザートで終わらせたくない料理人の思いが感じられる一皿。食べ応えも十分。
ここまで来たら満足感以外なにものもない。残ったワインと共に静かに余韻に浸るのみ。
さて、話変わって、フランスで長く修行を重ねた料理人でもあるオーナーの佐々木昭人氏はキャスクルートのほか、エビスのレスパス、そして白金のクレオールとタイプの異なるフレンチを3軒経営する方でもある。料理人を育てるという強い信念を持つ彼は、ことのほか何故この料理なのか?ということに強くこだわる。その先にはレストランを文化と捉える、フレンチに対する強い愛情を垣間見ることができる。
賑やかさを醸し出すイエロートーン |
■キャスクルート
東京都目黒区下目黒1-3-4 ベルグリーン目黒 B1
JR/地下鉄目黒駅西口 徒歩5分
03-5487-3608
ランチ 11:30~14:15(L.O.13:30)1500円から
ディナー18:00~22:30(L.O.21:30)3800円から
地図