フランス料理
半地下に見える構造をうまく使っているエントランス

トリュフのポテトピューレに驚き

半地下の玄関から入るとそこはイエロートーンの南仏風インテリア。フロアは軽い段差を交えて2つのスペースからなり、ベンチシートを背にする席に座るとほぼ全体が見渡すことができる。適度な雑然さが心地よく、賑やかになればなるほど店全体に活気が漲る空間になるような気がする。

実はこのビストロはもの静かな立地や内装云々といったことはどうでもよく、とにかく気鋭の料理人、荻野シェフのストレートで淀みない料理と格闘することに楽しさがある。

極度にお腹を空かせた私の胃袋に挑みかかる最初の一皿は、意外にもかなり重いものだった。

白子のムニエル
前菜
白子のムニエル 里芋のコンフィ添え焦がしバターのソースで

酸味の利いたソースの中にバターの香りが漂い、それが濃厚な冬の味覚、白子と重なりあう。下に隠された里芋のぬるりとした食感との違いも新鮮で面白く、食べ終わった後に前菜とは思えぬ満足感に浸りきる。かつての大投手江川の投げる重いストレートが初球から飛んできた感じだ。季節の食材の持つ美味しさを正確に引き出した一皿。


スズキとホタテのポワレ
魚料理
スズキとホタテのポワレ、ソースアメリケーヌ

これも見た目以上にボリューム感ある一皿だ。決め手は甲殻類からでるジュを煮詰めて作るソースアメリケーヌ。ソースの濃厚さがしっかり強調されており、白身の魚とホタテという淡白な食材を、ソースをうまく使って輪郭のはっきりした味わいに仕上てている。個人的にはこのソースは大好きで、何か子供の頃食べた蟹味噌鍋などを思い出させてくれる。


仔羊背肉の瞬間燻製ロースト
羊
仔羊背肉の瞬間燻製ロースト ハーブのジュと共に
魚料理もそこそこのボリュームだったので、この時点でそこそこ空腹感は収まっていたのだが、そこに登場したのがこの羊のロースト。「うぅっ食べきれるか?」という不安を打ち消したのが、燻製の風味と付け合せのトリュフ入りのピューレ、そして意外とシンプルに仕上げられたソースの組み合わせだ。

ほのかな燻製の風味は味覚に新しい刺激を与え、トリュフが散りばめられたポテトピューレは、肉に添えて口に含んだ瞬間、平静を装うことは難しいかも知れない。単なる付け合わせの枠を超えて燻製の香りと共に五感を刺激する。いや、刺激どころか爆発だ。この料理を空腹時に食べたらどんな気持ちになっていただろう。。。