フレンチ/東京のレストラン

ラタン(神保町)(2ページ目)

重厚感溢れる歴史的建造物の中にクラッシクの王道を行くフレンチが再び脚光を浴びつつある。ヴァンセーヌ、ビストロパラザで一時代を築いた巨匠、酒井一之が総料理長となり新た歴史が刻まれる。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

前菜
高品質のスモークサーモン

変わらないものを変わらないままに

写真にもあるスモークサーモンはごくごくありふれた料理ながら、脂っこさのないシンプルなスモーク加減が味覚を飽きさせることがない。ソーヴィニオン系の白ワインにもぴったりだ。ソースにより驚きが欲しければという期待はあるが、これから変わっていくことだろう。

ヒメマスのムニエルはなんてことない川魚料理かと思われるかも知れない。火の通し方が非常に難しく熟練の技が必要なこの料理、ピクルスを忍ばせたソースの爽やかさと味わいの深みが淡白ながら香り高いヒメマスに馴染んで、言いようのない味わいの快楽をもたらす。身の真ん中にナイフを入れるとすーっと骨がはずれ、不器用な私でも綺麗に楽しむことができる。食べやすく仕上げるのも料理人の技術なのだ。

魚料理
ぜひ味わいたい逸品だ
品切れだった鹿のローストの代わりにサービスされたのがチキンのカツレツ。チーズとハムに包まれたカツレツは赤ワインの風味が効いたドミグラスソースに纏われ、上品な味わいとなって皿のうえでフレンチの歴史を静かに主張する。

高い天井、アンティークな調度品、着かず離れずの心地よいサービス。そして1970年代の日本のフレンチを髣髴とさせるクラシックさ。驚きと言うよりほっとするこの気持ち。歴史的空間と料理が一体となって、変わらないものを変わらないままに彩る。

周りの客層も街場のフレンチとは一線を引く。スーツをキチッと着こなしたステッキの似合うご老人達が集い、国際経済を語り合う。外国人のビジネスミーティングを兼ねた食事会の様子を見るとこの歴史あるレストランに溶け込みまるで映画のシーンを観ているかのようだ。

メインディッシュ
やはりソースが決め手になっているカツレツ
ちなみにワインリストはルロワ、ルフレーヴ、ボルドーの有名シャトーなどが並び、5000円以下のお気軽ワインから30万円近いラ・ターシュまで幅広く揃い、リストを見ていて飽きることがない。もちろんこの時代明らかにお値打ちと思われるものもさり気なく並んでいる。

酒井シェフはまだ就任したばかりで、これから徐々にメニューの見直しを始めていくようである。歴史と伝統をそのままに、酒井シェフのもつエスプリがきっといい形で表現されていくことだろう。対応していただいたサービスの方の活き活きとした表情が印象的であった。

「酒井シェフのクスクス」は3日前位前に予約いただけると対応可能とのこと。

メインダイニング
ラタン
東京都千代田区神田錦町3-28
地下鉄都営三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線
「神保町」駅下車A9出口1分、
東京メトロ東西線「竹橋」駅から徒歩5分
「東京」駅北口からタクシーで10分
電話:03-3292-0881
ランチ :11:30~15:00 ラストオーダー 14:00
     1500円、3000円、予約によるお任せコースあり
ディナー:17:30~22:00(平日)ラストオーダー 21:00
     17:30~21:00(土・日・祝日)ラストオーダー 20:00
     4500円、7000円、お任せコース10000円
月休
地図
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