フレンチ/東京のレストラン

ラタン(神保町)

重厚感溢れる歴史的建造物の中にクラッシクの王道を行くフレンチが再び脚光を浴びつつある。ヴァンセーヌ、ビストロパラザで一時代を築いた巨匠、酒井一之が総料理長となり新た歴史が刻まれる。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

学士会館
神保町の駅からのアクセスも良い

歴史的建造物の中に

定期購読しているAERAの11月20日号に面白い記事があった。「ちょい古オヤジの残したいフレンチ」。軽いフレンチ、創作フレンチもたまにはいいが「本物」も味わって欲しい、ベテランシェフに見る熟練の味を、といった内容で五人のシェフとレストランが紹介されている。その中に酒井一之シェフの姿があった。

酒井シェフは1980年に帰国後渋谷にヴァンセーヌを開き、フレンチがまだメジャーではなかった頃、モロッコ料理でありながらフランスの国民食とも言われるクスクスをメニューに載せ、その後ここから徐々に広まったといわれている逸話を持つ。

その後は赤坂見附にビストロパラザを開店し、昼夜問わず人気を博していたのだが今年の5月に閉店。私のオフィスがとても近かったことからクスクスをよく食べにいったのだが、閉店となりその後が気にはなっていたところAERAで発見、活躍を知ることとなる。一ツ橋の学士会館の総料理長に就任したのである。

学士会館
歴史を感じる重厚なドア
学士会館と言えば、グルメにはちょっと縁遠いところかも知れない。東京大学発祥の地、そして登録有形文化財として有名だが、その中にあるレストラン、ラタンは余りにも知られていないところだろう。アールデコ様式のスタイルを持つまさにシックな大人の空気が漂う雰囲気がある。これはデザインに金をかけたから出せるものでは決してない。歴史がゆっくりゆっくり作り上げた空間と見るべきだろう。

学士会館の正面に立ち、階段を上ると重厚なドアがある。その前に引きつめられた赤い絨毯のふんわりとした沈み具合が心地よい。ギギっと押すとレトロな雰囲気そのままのエントランスホール、左手には会議室が並ぶ廊下が続く。右手のレストランに入ると右手がパブ&カフェ、左手がレストランと分かれている。

フランス料理
品格を感じる赤い絨毯が特徴的だ
なんどかランチに出掛けたことがあるが客層は政財界のご年配の方々、外国人。女性客は極端に少ない。洋食と言うジャンルにとどめておくにはもったいないランチ、そしてディナーであるが、近年のフレンチの流れとは正反対ともいうべくメニューはマスコミに取り上げられるネタを放出しているとは言い難い。
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