フレンチ/東京のレストラン

ジャック・ボリーさんとの90分談義(2ページ目)

日本を代表するフランス料理店ロオジエのシェフを永らく勤め、昨年第一線を退いたジャック・ボリーさん。歩いてきた道程とこれからのことを伺いました。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

銀座
モダンさの極地というべきロオジエの階段

気品あるダイニングへ

ロオジエのドアが開き、スタッフの笑顔に迎えられると螺旋階段で2階ダイニングの非日常世界にゆっくりと静かにトリップ。帰りは満足感と共にエレベータで一気に下界の現実世界に戻る。この1年で非日常的空間を配置した高級レストランはできたが、ロオジエはこれをもう何年も前から実現しているところがすごい。そういったことが随所に見られ、ディテールのきめ細かなところが他店と一線を画していることがわかる。

いや、それだけではない。なんと言ってもやはりボリーさんの存在が大きかった。決して目立つことなく、しっかりとしたバックボーンを作るのがCEOである資生堂の役割だとしたら料理長であるボリーさんはCOOとして現場一切を仕切る。このコンビネーションが最大効果を発揮してきたところがロオジエなのだと思わずにはいられない。

さて、そのボリーさんにいろんな話を伺うために資生堂パーラーまで出掛けた。私は名声を得た偉大な料理人であるボリーさんがこれからどこにいくのか知りたかったのだ。

営業前の資生堂パーラーに現れたボリーさんはまず次々とスタッフに声を掛けるところから始まる。

「元気にしていたかい?」
「久しぶりだね」

ちょっとしたひと言コミュニケーションがいかに大切か身を持って感じているのだろう。彼がフロアに現れると一瞬のうちに和むのはその類稀なフレンドリーキャラクターがあるからに他ならない。

私はいつものように雑談からスタート。日本語と英語と一部フランス語の通訳を交えての90分が始まった。
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