表参道ヒルズ
派手なデザインでないところが周りに溶け込んでいる

表参道ヒルズ

表参道に初めて行ったのは多分小学校六年生の夏休みだったと思う。その時の記憶はほとんどないが、その次は高校の修学旅行の時だ。黒い学生服を着て原宿駅で「上野(集合場所だったのだ)行きの汽車は何時だべ?」と話していたことを考えると今やもう笑えない年になってしまった。

かつてキディランド裏に「ペニーレーン」という喫茶店があった。知り合いの大学生坂本さんに連れて行っていただいたそのカフェはとてもお洒落で、かっこいい人たちで店はいっぱいだった。田舎の高校生だった私は見るものすべてが新鮮だった。東京の大学に入れればこんなところに来れるんだ!!とハイな気持ちになったことを今も思い出す。

そう、私にとって表参道はいつも新鮮で刺激的な場所。

表参道、青山界隈は少しづつ春の息吹を感しる街になっているような気がする。比較的こじんまりとした商業施設が徐々に出来始め、人の流れもスパイラル的になりつつある。フレンチで言うと昨年夏にオープンしたビストロシック・メディテラネアン・ブノワ、冬のピエール・ガニエール・ア・東京、古くは開店20年を迎えたラブランシュ、老舗ながら換わらない評判のランス・ヤナギダテ、小さいが存在感抜群のオープティコントワー、骨太料理が健在のジョエル、マダム達に人気のパピヨン・ド・パリなどがひしめく。

そして、表参道ヒルズ。

なんでもかんでも『ヒルズ』というのもいかがなものか、と思うがディベロッパーのブランドの統一というところなのだろう。あれほど話題になった六本木ヒルズが早くも過度期を迎えているこの現実。大事なのは「その地で長く続ける意思があるかどうか」なのだが、某フレンチのシェフは「昔(開店当時)は超忙しかったが今はひまひまだわ」と語る。いつしか街=場所の寿命はとても短くなってしまったのだろうか。単に中にいる人がさぼっているだけなのだろうか。

私は個人的に尊敬する安藤忠雄氏の設計建造物を見に平日度々表参道ヒルズを訪れている。六本木ヒルズが面の展開なら表参道ヒルズは空間の展開か。狭い敷地内に効率良く箱を並べる苦労が垣間見える気がする。エントランスから入ると斜めにスロープが連なり、気がつくと自分がどの階にいるのかわからなくなる。ショップはたくさんあるのだが、それがどこにあるのかわからない。でも比較的狭いエリアにひしめいていることと、吹き抜けの向こう側も見えるせいか、息苦しさがなく「いずれどっかに辿りつくだろう」という安心感が感じられる。回廊沿いにはフロア問わず個性的なショップが並び、興味のないところでも感覚が刺激される楽しみがあるので、飽きることがない。