食事中の携帯電話利用パターン
■カップルが食事中に携帯メールをチェックしている。それだけでは収まらず、2人ともメールを打っている。■携帯で、小声ながら席で話している。隣の人は怪訝そうな顔をしている。
■食事中でも携帯が鳴ると同時に、外に出て話し込んでいて女性は一人でぽつんとワインを飲んでいる。
■食後にお互い化粧室に立ったとき、その間ほとんどの人は携帯をチェックしている。
■携帯で料理の写真を取る人が多く、その度に撮影の際に鳴る「音」が周りに漏れている。
料理の写真を撮るときはさり気なく |
先日ル・ブルギニオンで久しぶりに4人でディナーに出掛けたとき、携帯を切りませんか、と話したところ、バイブモードじゃ駄目ですか、と聞かれた。「鳴ると気になるからねえ」と切り返したが、なんとなくあやふやなまま、食事モードに入ってしまった。
ここで、私は自戒を込めながら大反響を覚悟で書きたい。
「レストランに入ったら携帯電話を切りましょう!!」
それは何故か。
コミュニケーションの基本を思い出そう
上に書いた5つの事柄は一緒に食事をしている友人達や彼氏彼女、奥様ご主人、取引先や仕事仲間にとても失礼なことではないかと。私だって、前菜が終わったあとちょっと会話が途切れた瞬間にメールが来たバイブが鳴って、相手がそれをチェックしていたらとても嫌な気分になる。化粧室から戻ったときに相手が携帯メールを打っていたとしたら、何か嫌な気にならないだろうか?ワイングラスを見つめながらでもなんでも、戻ってくるのを待っていてくれることを期待したいではないか。お店に電話をする方が気楽かも |
店を出たあとすぐに携帯をチェックするのもいかがなものかと思う。「あ、店出たらもう気持ちは僕のところにないのね」と思うのは男性の僻みか。
さらに言うとしたら、大体の場合においてその時間にかかってくる電話、そしてメールはどうでもいいような内容のものであることが圧倒的に多いのではないか。
「今夜は何処で飲んでる?」
「今日はどうしてた~?」
「今度の待ち合わせなんだけどさー」
まあ、帰りの電車の中で返事できるものばかりのはず。
携帯打つヒマがあればソムリエやサービスの方とお話をしたり、普通に酔ってお腹も一杯であればぼっーとしているのだってレストランでの楽しみの一つ。余韻に浸る余裕が欲しい。
その時間に携帯に出なくても人間関係はそう壊れるものでもあるまい。携帯に出なかったことで気まずくなる相手なら今後の付き合いはもっと不安になるはず。
切ったら切ったで結構気持ちも軽くなります |
キャラメルボックスの加藤昌史氏は演劇が始まるとステージとあなたは一対一です、と言う。レストランではそこまでのストイックさは求めないが、相手と食事と時間との優しく優雅な時間に包まれて何ぼの世界。そこにたかだか携帯機器に時間や気持ちを邪魔されたくないじゃないですか。
インターネットの利用環境や携帯機器の発達によってバーチャルコミュニケーションの楽しさ、便利さは広がるばかりだ。しかしコミュニケーションの基本は人と人。フレンチの楽しみは食事とワインと時間、そして目の前にいる大切な人。
私はその時間ぐらいは誰にも邪魔されずにパソコンやケータイがなかった、そんの少し前の時代に戻りたい。
と、いろいろと書いたが、レストランのサービススタッフもゲストが携帯に気を取られるようなことのない位、魅力あるサービスを心がけていただきたい。