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バスクの秘密地下室で作られているものは一体?! アラン・デュカスの情熱世界へ(3ページ目)

パリとモンテカルロに2軒の三ツ星レストランを持つ、最も旬な巨匠の素顔をたっぷりお伝えします。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

秘密の地下室??

スペースラボのための料理を研究しているんだ。一言でいうと人間が宇宙で生活していくための食事の研究。人間は月や他の惑星に住む可能性があるよね。またスペースシャトルの中で何か特別なときに食べる食事とか、近い将来そんなとき、つまり無重力状態のときにどういったものを食べていくのか、そういったことを委託されて研究しているんだ。どうだい、面白いだろ(笑)?今度バスクに来るときはぜひ見に来るといい。

きのこ
常に最高の素材が揃う
ワールドワイドで展開している中で食材の仕入れなどはどのようにされているのですか?

誰がどんなところで作っているのかという裏を知ることが大事だ。既存の流通ルートだけ見ていても駄目。生産者とちゃんと会って話をしなきゃね。特定のところからの一括購入はないな。ほとんどが小さなところからだ。アラスカ産のサーモンなんかはみなそうだ。

名前は出せないが、ブルターニュのとある職人さんはプラザ・アテネのレストランにブルターニュ産ラングスティーヌを一匹一匹袋詰めにして味を閉じ込めて届けてくれるんだ。当然生きたまま調理するから抜群に旨いんだ。そうそう、日本の天ぷらと似ているかも知れないなあ。

日本におけるかつての失敗について伺いたいのですが。

イクスピアリに「スプーン」を出したが傷が深くならないうちに撤退を決断したよ。インターナショナルな雰囲気ではあったがロケーションに問題があったように思える。価格を下げて質を悪化させるより、さっくりと撤退を選んだ。とにかく日本を理解するにはいい勉強をした。特にスタッフを初めて日本に送り込んだことは今になってよかったと思えることの一つだ。まあ、誰だって失敗はあるさ。大事なのは前向きに捉えることだ。

秋にはピエール・ガニエールが同じ青山でレストランを開きますね。

ウエルカム、ウエルカム!!実力者が来ることは日本にとってとてもいいことではないか。ヒラマツだってパリで星を取ったことだしね。フレンチ文化の交流がもっともっとあっていいはずだ。競合が多いほどそれぞれの実力が試されレベルが上がるしね。

ご自分で料理を作るレストランはありえないのか?

あっはっは、それはないよ(笑)。いつかはあるかもしれないが、今は若手を育てることにある。有能な若手をどんどん延ばしていきたいね。僕の役目は映画であればプロデューサー、野球であれば監督だ。監督が打席に立っても打てないだろ。腕だけ見たら今のシェフたちのほうが全然上だよ。

フランス料理
私は常に先を見ていたい。やってきたことを繰り返すより、新しいものを追い求めたいんだ。食材の研究などはその最たるものだよね。そして自分の持ってるノウハウをどんどん公開しないといけない。日本でも最近「Grand Livre de Cuisine d’Alain Ducasse」シリーズがADF+TSUJIから発売されたばかりのはずだ。あとは後進を育てることだ。巣立っていった若い料理人が星を取るとそれはうれしいよ。人を育てることはほんとうに楽しいことだ。

日本におけるADF+TSUJIの活動はこちらをご覧下さい。
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