個性的なメインディッシュにシェフの個性が

ランチタイムにも関わらず夜のメニューをお願いしたのだが、気持ちよく受けていただき、結果的にはそれが大満足&大正解。ランチタイムのワインは350円。ラングドックものだが、ワイングラスではなく、小さなグラスで出るあたりがいかにもビストロっぽくっていい。

丁寧すぎるサービスと静かな店内はきっと人の少ないランチタイムだからか。賑やかに、「ハイハイどうぞ、ワインはこれとあれと、料理はこれがお勧めですよ、お兄さん」とかそういうサービスなんだろうな、と思いきや、見事に普通の丁寧なサービスであったことにちょっと拍子抜け。私の勝手な想像なのだが、大阪の飲食店はみんなコテコテのねちっこいサービスなのだろうという、間抜けな先入観があったのだ。でもここはグリコ(しつこい!)の見える一等地のビストロ。威勢のいいプレゼンテーションは必要な気がする。

心斎橋
メインディッシュはどれも個性的
さて、半分オープンスタイルのキッチンでは若いシェフが黙々と仕事をこなしている。その料理は実に模範的なビストロ料理。ねっとりとしたパテは濃厚ながら飽きのこない味わい。仕込みの時の丁寧な仕事ぶりが想像できる。ハモン・セラーノも厚みがあり、皿に振られた塩・胡椒とともに噛めば噛むほど染みてくる食感が印象的。かぼちゃのスープはおまけとして、鳩のローストは食べ応えある一皿。火加減、塩のバランスが丁度良く、風味はかぶりつきたくなるほどの食欲を増幅させる。これを前にしてはワインなしでは実に物足りない。少し時間がかかったものの、フォンダンショコラも写真の通り見事な出来栄えで待ったかいがあったというもの。香りがPCの画面から漂い出てきそうな勢いだ。

デザート
時間がかかってもフォンダンショコラをぜひ。
このモーベ・ギャルソン、フランス語では「悪い男の子」と言う意味で、パリに同名の通りがあるそうだ。シェフの播野氏は調理師学校修了後東京、大阪のレストランを経てフランスへ。3つ星レストランのジョルジュ・ブランなどで腕を磨き、その後在シリア大使公邸料理人を経て、故郷の大阪に店を持ったという経歴。「熊本産牛ホホ肉赤ワインのとろとろ煮込みシリア風」「タスマニア産仔羊のシャンク コーヒーとシナモンの香り」などこれまでの経験を活かしてかエスニックテイストを加えたメニューは魅力的だ。懐に優しい価格帯であればあることも嬉しい。ちなみにお任せメニューですらたったの5200円。

さて、シェフはまだ30代前半、これからコテコテ大阪のど真ん中でどのようにビストロ料理を進化させていくのだろうか。個人的にもとても楽しみだ。

たっぷり2時間以上かけての大阪ランチ。心地良い満腹感とほろ酔い気分に包まれた時間だった。

モーベ・ギャルソン
大阪市中央区心斎橋筋2-4-4 日総四国ビル2F
06-6213-8150
11:30~(L.O.14:00)、17:30~(L.O.21:30)
火曜休
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