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美食を産み出す最高の環境が用意された。 デュカスの超料理ワークショップ(2ページ目)

グループ・アラン・デュカス(ADF)と日本を代表する辻調理師専門学校(TSUJI)がこれまでにない料理ワークショップを開始した。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

辻調理師専門学校
シェフの包丁さばきもぜひ盗みたい 
場所は日本橋蛎殻町の一角。そこには洗練された最新鋭の設備を持つスペースがあった。シェフ・プロフェッサーであるクリスチャン・ジュリヤールのほか、グループ・アラン・デュカスの日本代表ファブリス・ルノー、そしてTSUJIグループの代表である辻芳樹も見守る中、特別なワークショップがスタートする。

まずは「秋野菜と田舎風豚ばら肉の煮込み、煮詰めた煮汁のスュック」の調理に取り掛かる。一通り調理器具や食材についての講義を受けたあとは野菜を切るという基本事項の注意点の説明がある。

・角がないように同じ大きさに切る。
・素材の味を保つために下茹でしない。
・ココットの中には皆同じ方向に入れる。
・入れる順序を間違えない。
・そしてゆっくりと火を入れていく。


構成する脂肪分が異なるため日本のバターは使わない、などなどのポイントを抑えながらココットの中で野菜たちが料理に少しづつ成長していく。

ベージュ東京
だんだんと野菜が最高の料理に近づいていく
ところどころで用意された2種類のフォン(鶏がらや野菜、ハーブなどで作るいわゆる出汁)で煮詰め、風味や味わいを染み込ませながら、段々と完成に近づいていく。野菜は一つひとつ丹念に扱われ、最後の最後にココットの中で顔を合わせる。そうかこれはレコーディングのようなものなのか。それぞれのパートのプロが練習を重ね、レコーディングのときに一気に音合わせをして完成作品を創り上げる、そんなイメージだ。シェフは時折冗談を交えながら、手早く、そした勘所は丁寧に解説を繰り返す。

「野菜はゆっくり、ゆっくり火を入れていくんだ。」

「野菜の角を取ると言うことはココットの中で転がるようにしてすべての面に 同じ焼色がつくようにするためなんだ」

「盛り付けにはしっかりとしたボリューム感を出すんだ」


私は2番手の山内氏に調理器具の用途やフォンの構成要素など質問を繰り返すが、彼は的確にそれに応えながら、自らの仕事も着実にこなすたいへん有能な人材。

ベージュ東京
シンプルな料理の中にこそ真実がある。
さあ、盛り付けが終るとあとは試食。わずかながらの量ではあるが、蕪、人参、じゃがいも、ラディッシュ、栗、などすべての野菜がオーケストラのパートのように独立した味わいが感じられ、驚くべきことにすべてが調和している。最後に一振りしたオリーブオイルと胡椒がさり気ないアクセントになっていることに気づいたのは、小さな一皿を食べ終わったあとのことだった。後味にもしっかり残る仕掛けがなされている。食材は贅沢に使われているものの非常にシンプルなメニューだが、こうしたメニューの中にアラン・デュカスが主張する「素材へのリスペクト」があるのだろうか。

もちこんこれは日本の日常的な食材を使って家庭でもできるものだ。この点についてもシェフに質問を重ねたが、野菜の組み合わせによって新しい発見があるかも知れないとのこと。

冒頭に書くべきだったかもしれないが、彼はモナコのルイ・キャーンズ、パリのプラザ・アテネなど多くの超豪華レストランを手がけていることで有名だ。しかし会ったこともない彼に惹かれるのは別のところにある。スペインとの国境に近いフランスはランド地方の出身である彼は2004年夏ピレネーの麓に小さななオーベルジュ「オスタペ」を開いた。ランドとは県の名前で地方名で言うとバスク地方となり、基本的には異なるが、出身地と近いことと食材が共有できることから特別な思いがあるようだ。私も2月にバイヨンヌまで足を延ばしたが、この地方こそ素朴な美食の国という印象を受けた。生まれ故郷である南西部の風土や食材にこだわる彼の姿勢は華々しい活動とは裏腹に、実は素朴で飾り気のない方なのではないだろうかと推測できるからである。

さて、今回ご紹介したフォルマシオンだが、一日単位のワークショップが4万円。前菜からデザートまで一日がかりで一気に講義が進む。10日間のロングショットが35万円。私も数少ないレシピを有する立場から言えば、一日でかなり高度な技術を習得できるなら4万円はかなり安いのではないか。 例えばIT関連のセミナーであっても一日10万円取るところがあるくらいなのだから。

ワークショップの詳細はこちらをご覧いただきたい。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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