フレンチ/東京のレストラン

ボンシュマン(祐天寺)

祐天寺と学芸大学のちょうど間になるのだろうか、忽然と現れたボンシュマン。ご近所さんのレストランにとどめておくのはもったいないほどのフレンチだ。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

2004年8月20日再訪

下記の記事を書いてからほぼ1年ぶりの訪問。花澤ご夫妻とは春先に三田のコートドールで偶然にもお会いしたことを思い出す。この日もマダムの品のいい笑顔が店の雰囲気を「凛」とした空気を作り出し、狭い店内ながら上質な空気が感じられる秀逸なレストラン。

ワインリストは5000円から10000円の間で結構な苦労をかけて選んだ痕跡が伺える。ポムロールのワインは優しいながら最後まで味わいが落ちることはなかった。(最近は銘柄を覚えようとする意識が落ちておりすいません)

いつ行ってもブレがなく、楽しい時間が過ごせるような、そんな気がした。


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恵比寿にラブレーというレストランがある。ここで取り上げる必要もないくらいの人気店。かつて、とあるパーティーの料理の打合せに行ったとき、オーナーの山田氏が「今度いいシェフがはいったんですよ、ラ・ブランシュで2番手やっていて、野菜料理がなかなか得意でね。」と一気にまくし立ててきた。

ふうん、水島さんから代わったんだ。。。シェフが代わると言うことはレストランにとっては大事件。まあ、ラブレーはジョージアンクラブやいろいろな有名店に料理人をサプライする、ある意味ではすごいレストラン。平井にある名店コバヤシのソムリエ、阿部氏もスタートはこのラブレーであった。

話は飛んだが、その新しいシェフの繰り出す料理はシラウオのフリカッセや煮込み料理など、ブッフェ料理ながらワインとの相性を意識した料理であった。その後出かけたディナーでもボリュームあるポーション中に、野菜による季節感をたっぷり埋め込まれた料理は今も忘れることがない。


そのラブレーの料理長を経て昨年夏に独立を果たしたのが、今回ご紹介するボンシュマンの花澤龍氏だ。

場所は東横線祐天寺と学芸大学との間くらいだろうか、静かな住宅街。祐天寺から高架下に沿って歩くこと10分。探すまでもなく、光り輝くレストランが視界の正面に入る。写真をご覧になればわかるとおり、レストランから発せられるその光は明るく、強力だ。

明るく小奇麗な店内は老夫婦、カップル、奥の個室には幼いお子様連れのご夫婦と多様だ。でもこれが自然、というか当たり前の日常か。サービスの女性二人は初々しさを残しながらもてきぱきと応対。出すぎず自然なサービスが居心地のよさをゆるやかに加速させる。

メニューをあれこれと決めかねる間の白ワインは南仏のこってり系シャルドネ。リースリングあたりが良かったのだが、このシャルドネ、限界まで冷やされており、ここまでくるとまったり感とシャープさが一緒に楽しめる瞬間だ。夏の暑い夜にはソーヴィニオンかサンセール、意表を付いてリースリングといったところが順当なはず。これを考えたのはシェフかサービスか、それとも?

さて料理の方に移ろう。
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