「鮎のテリーヌ ジン風味」は旬の鮎を丸ごと網焼き(グリエ)して、骨もすべて裏ごししてテリーヌにしたもの。トマトなど夏野菜が添えられている。

鮎の上品な味わいが広がる季節感溢れる意欲的な作品だが、味わいが単調で後半にはくどさが残るせいか、途中で食べ飽きてしまうのが何とも残念。一口サイズのアミューズなら感動はひとしおか。
という訳で少し残してしまったそのあとはスープを選ぶ。


「ガルビュール風のポタージュ、鰯のポワレ添え」スペイン国境に近いランド地方の郷土料理の一つで、フランス南西部の素朴な風景が皿の奥に見えるようだ。やさしい香りの中にフランス郷土料理の奥の深さが漂う。

後でシェフに申し上げたのだが、これはドンブリで欲しいと思ったほど旨い。多くの夏野菜やベーコンなどが程よく調和したスープは夏でも冬でも体に優しい。鰯のポワレも味わいをぎゅっと締めるものだ。一気に平らげたが、食べるスピードも忘れるほど。私はこういった「調和」を感じる料理が大好きだ。皿の中にはフランスの田舎町が佇んでいる。


友人が選んだのは「フォアグラのベニエ、ポルト酒ソース」
食通の皆様はご存知だと思うが、フォアグラは金曜日が旨い。木曜夜にエアーで日本に到着し、翌日にレストランに搬入される。フレッシュさがとても重要な食材だ。味わい深いフォアグラを薄い皮で包んでカリッと揚げたもの。その深い味わいは、ストレス溜まる仕事を抱える疲れた友人の表情を、ゆるやかにやさしさ溢れる表情に変えていく。

メインに選んだのは前日に入荷したばかりの「ブレス産子鳩のロティ、内臓のソース香草風味。」これも前日に届いたもの。一見こってりとしたイメージに見えるかもしれないが、さすがブレス産の小鳩。じわっとくる食感に見た目ほど濃くない、さらりとした、でも後味を後に引く内臓ソース。この「調和」が今夜のクライマックスの瞬間か。
この時期でも忘れられない一皿だが、ジビエの季節にはもっともっと期待したい。

            

花澤シェフと食後に久しぶりに話をしたが、最初からわかっていたとのこと。なんだ、しらっと来たのだが、ばれていた。最初に会った時の印象とは大きく変わってはいたが、穏やかな表情の中に、まだまだ今の料理には満足していない印象を受けた。

これから少しずつ、少しずつ成長していくに違いない。

ここは決して街場のビストロではない。ちょっとお洒落して出かける近所のレストランか。

ちなみにこの日のお値段はこの通り。
5,600円のコース2つ(フォアグラ+700円、小鳩のロティ+1000円)
グラスワイン白2つ
ブルゴーニュワイン5,800円
合計で23,000円

小鳩のロティは入荷の予定がはっきりしなかったためにメニューには載っていない。予約時に問い合わせてみることをお勧めする。

            

ボンシュマン
東京都目黒区五本木2-40-5 Beat101
TEL 03(3791)3900
営業時間 11:30~14:00(L・O) 18:00~21:30(L・O) 水休
席数 22席 6名までの個室あり
オーナーシェフ 花澤 龍(芸名みたいな名前ですね)
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