フレンチ/東京のレストラン

ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション 六本木ヒルズの超人気店(2ページ目)

予約不可、カウンターのみ、アラカルトメニューといったこれまでのフレンチと大きく異なるラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション(六本木ヒルズ)。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

さて、料理。前菜はサン・ダニエル(イタリア)のイベリコハム(1,000円)とパンにつける豚のリエット ル・マン サルト風(500円)。ハムにはバターが添えられており、軽くつけると味わいが増すとのこと。確かにその通りだ。塩加減はそう強くはないが、バターが持つ塩分とゆるやかに絡み合う。イベリコはスペイン産がベストだが、このサン・ダニエル産も現在楽しめる生ハムの中では最高の部類に入るのではないだろうか。


南仏野菜のミルフィーユ、バジルソース(800円)はご覧の通りの美しさ、そして何も邪魔しない軽い味わい。800円という値段だから、というより世界最高のシェフのレシピを再現しているように思えないのは、まだまだ彼の哲学が浸透していないからと見るべきなのか、私にはまだわからない。


次のメインディッシュはリード・ヴォーと茸のソテー(2800円)。香草の香りが食欲をそそるのだが、まず塩が全く足りない。。。ということよりもリード・ヴォーの質があまり良くない。表面がカリッとして中がほわーんとしたリード・ヴォーではなく、ボリュームはあるのだが少しでも冷めると堅くなってしまうもの。私の知る頼んだ自分に運が無かったか、とほとんどあきらめの境地。


となりの清水女史はタラのヴァプール香草風味(2000円)。これはバジルやパセリにバルサミコを絡め、フランス人好みのシャープな酸味を強調した一皿。そう言えばメニューにはパスタもあり、イタリアンテイストもほのかに漂う。


しかし、である。リード・ヴォーの食感を残したままこのレストランをでたあと、
「ここがロブション氏のレストランと知らずに来るだろうか?」
「予約を取らないのはいかがなものか?」

そんな中、カウンターの中にいるサービスのスタッフはこう語る。「このようなスタイルはまだ初めてなので、いろいろと試行錯誤しながらやっていこうと思っています。」 そして、恵比寿のタイユヴァンとは違うんですか?という嫌な質問にも「経営母体がまったく違います。パンも独自に焼いていますし、経営はピザ-ラがやっているんです」と自信に満ちた答えが返ってきた。まだ若い彼の言葉にとても好感を持った。

あと半年位経ち、六本木ヒルズが東京に溶け込む頃、ワイン一杯と斬新なメインディッシュとともに、ロブション氏が望むコンビビアリテを楽しみながら、軽く酔いたいものだ。
フレンチ=予約が必要と私も固定観念があるが、満席なら窓際に立席を作ってもらえば、私はそこでも言いとさえ思うかも知れない。そうなれば、フレンチを愛する一人として、今ひとつだったリードヴォーは、今日は許してあげよう。

■ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション
住所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ ヒルサイド2F
電話:03-5772-7500
ランチは11時より、ディナーは18時より順次案内される。平均して平日は1時間程度、休日は2時間程度並ぶ。サービス料はない。レジの明細には食べたメニューが印字される。
隣にボランジェリーとパッティスリーが併設されている。その詳細はパンガイド清水さんのサイトをぜひご覧いただきたい。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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