フレンチ/東京のレストラン

ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション 六本木ヒルズの超人気店

予約不可、カウンターのみ、アラカルトメニューといったこれまでのフレンチと大きく異なるラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション(六本木ヒルズ)。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

予約の取れないレストランの筆頭と言いたいところだが、そもそも予約を受け付けていないので並ぶしかないこの人気店、あらゆる意味で新鮮だ。
今回はパンガイドの清水美穂子女史と共同覆面取材と相成ったが、パンもウリにしている話題の人気店でまったりとランチ!と盛り上がった結果、ここにに辿り着いた。



店名にもあるジョエル・ロブション氏は言うまでも無く20世紀を代表する料理人の一人。39歳の時(私と一緒だ!)ミシュランの3つ星を市場最短で獲得し、名声を得たものの51歳になった96年に「最高の状態で辞めたい」とパリにあった自らのレストランを閉店した。
その後恵比寿にタイユヴァン・ロブションの運営に関わり、今もってフランス料理界に大きな影響力を持っている。その料理は今もって衰えることなく、精密機械とも評される素材の持ち味を想像性豊かに発展させていく手法は、他のシェフの追随を許さない。その詳細はここをご覧いただきたい。

さて、そんなフレンチ界の重鎮が六本木ヒルズに店を出した、それもこれまでにないカウンタースタイルのモダンなフレンチ、となれば話題性は十分だ。店のコンセプトは「コンビビアリテ(懇親性)」。小皿とアラカルトが中心で、長いカウンターの先にいるかっこいいサービススタッフとあれこれと相談しながらメニューを決めていくというもの。どうも日本の寿司屋のようなものをヒントにしたらしい。

ロブション氏は開店日の4月25日、入店を待つ客を前にしながら、突然閉店。素材の質がいまひとつだったらしいことを理由に夜まで開店しなかったというエピソードを早くも作ってしまった。パフォーマンスなのか?というひねたことは言わないまでも、類稀な完璧主義者なのであることは伺える話だ。

さあ、話を戻そう。
本日5月19日はあいにくの雨。雨の月曜日のランチともなれば、そう混まないはずとタカをくくったものの、なんとなく10時半に店の前に到着。11時の開店の頃には50人位の方々が列を作っていた。

もちろん私も並んだ一人。
うーん、フランス料理を食べるのに並んだのは初めて。並んでまで食事をするということにはものすごく抵抗はあるのだが、並ぶとか予約を取らないということについてどうこう言う気はない。世界最高の料理人のレストランなのだから、ここは彼の言うとおりにしようではないか。

しかし初めて、それも一人で並んだことから、周りが気になってしょうがない。隣はまだ若いマダム達4名様。その逆隣も女性同士、列の向こうはミドルエイジの女性達。その先もずっと女性の列。その並んでいる女性達に「このレストランは有名な人がやっているんですか」と尋ねる方の数名。その答えは「とても有名な人らしいです」。並んでいても、女性同士で1時間位はグルメ談義であっという間に過ぎていくだろう。
それにしても男は並ぶ列に私のほか2名のみ。うーむ、食は女性によって動かされるのか。。。

案内された長いカウンター席に着くと、その向こうにはキッチンが広がる。冒頭に書いたとおり、メニューを見ながらカウンターの向こうにいるスタッフとあれこれと料理を決めていくスタイルだ。かしこまらず気軽な雰囲気だ。メニューの左側がハーフポーション、右側が通常サイズのアラカルト。どのくらいボリュームがあるのかといった相談やメニューの内容についていろいろと教えてもらう。うーん、お寿司屋さんがモダンフレンチになった!という赤と黒で統一されたインテリアは落ち着かないという向きもあろうが、個人的には好きである。

さて、その料理はいかなるものか?
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