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PS3が売れる為に必要なのはプレゼンス(2ページ目)

ライバル機のWiiが好調に売り上げを伸ばす中、苦戦するPS3。何故PS3は売れないのか。そして、どうしたら売れるのか。PS3が商品力を持つ為に必要なことを考えます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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PS3を買うとどんなハッピーが訪れるのか

Wiiスポーツをするカップルの図
Wiiのプロモーションは、Wiiという商品で色んな人が集まってゲームが楽しめるということを、強く意識したものでした。
一言で言えば、PS3を買うことによってどんな幸せが訪れるのか、これが分かりやすく伝わると、PS3の存在の意義が明確になる、つまり存在感がでます。Wiiで言えば、子供から大人まで、ゲーム好きも、ゲームをしたこと無い人も、誰でも楽しく一緒に遊べる。こういう楽しさを、Wiiスポーツというソフトで強烈に表現することによって、存在感を持ちました。

Wiiというハードが存在感を持っているのは、ゼルダよりもWiiスポーツマリオよりもWiiFitを前面に押し出すことで生まれています。ゼルダやマリオは、むしろゲームがもともと好きな人に対する脇固めの役割を帯びていると言えるでしょう。

今PS3を買うとどんな幸せが、どんな新しい楽しさが訪れるのか、これを分かりやすく説明できるタイトルはまだちょっと見当たりません。現状、PS3のソフトの多くはPlaystation2(以下PS2)の延長上、PS2の豪華版に留まっているように見えます。高性能である分、開発に時間とお金がかかりますから、発売後約1年でハードの性能を生かしたゲームを望むのは酷なことではあります。しかし、ライバル機のWiiがスタート地点で明確な差別化を図ってきた以上、そうも言ってはいられないわけです。

キラーソフト不在による悪循環

FF13の図
FF13はPS3のキラータイトルとなり得るのか。それは、FF13がPS3でしかできない新しい価値を生み出すことができるかどうかにかかっています。
PS3は実に高い性能、豊富な機能をもったハードです。しかし、高性能故に開発に時間がかかり、キラータイトルの不在からその価値が決定づけられていません。それが存在感が無いということです。

ハードの価値、存在が決定付けられないと誰にどう売ったらいいかも分かりません。もちろん幅広い層に売れれば一番いいわけですが、どこをコアターゲットに設定して、どんなコンテンツを切り口にして、どういう過程で間口を広げていくのかという事業のストーリーを描くのが非常に困難になります。

このことはプラットフォームホルダーであるSCEはもちろん、ソフトを開発するサードパーティ、それに販売する小売店、さらにはPS3を取り上げたいメディアなど、様々なところに影響を与えます。ハードの存在感が希薄な為に、方向性が定まらず、方向性が定まらない為にソフトのリリース戦略や、プロモーション戦略にブレが起こり、その為にハードの存在感を打ち出すことができなくなるという悪循環にも陥ります。

PS3の戦略上急務であるのは、キラーソフトの登場です。しかしそれは、必ずしも今までの大作ゲームの延長上のものではないというお話を最後にしたいと思います。
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