ゲーム業界ニュース/ゲームと文化ニュース

ゲームの新しい役割 新しい社会との関係(2ページ目)

今、ゲームは娯楽だけではなく、脳を鍛えたり、料理をしたり、英語を学んだりと多様なツールとして使われるようになりました。ゲームがその機能を生かし、社会の中で担う新しい役割について考えたいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド


普段ゲームをしない人に普及していった脳トレ

脳トレは初動(発売週の売上げ)で約4万本を販売しています。累計で300万本以上を売り上げている現状からすると、少し寂しいように思うかも知れません。しかし、もともとこういったツール系のソフトは1万本売れればヒットというようなものでしたから、初動4万本は異例の大ヒットと言える数字でした。実際、お店では売り切れが相次ぎました。

この後、脳トレは毎週数万本というレベルで細く、長く、売れ続けます。もともとこの手のソフトは既存のゲームユーザーが殺到する類のソフトではありません。しかし、今までに無いゲームとしてメディアにも取り上げられ、ゲームをしなかった人にも広がる形でゆっくりと売れていきました。

脳トレが今までゲームをしなかった人を取り込んでいるということを確信させる出来事がありました。敬老の日の直前、それまで横ばいだった脳トレの需要が跳ね上がって初動をこえるセールスを獲得したのです。恐らくこれは敬老の日の贈り物として買われたという格好でしょう。子供でも、ゲーマーでもなく、大人や、あるいは高齢層にまで脳トレはゆっくりと浸透していったのです。

【関連記事】
売上ニュース読み方講座 初動率編(AllAboutゲーム業界ニュース)

脳トレのヒットがツール系ソフトを花開かせる

お料理ナビの図
ゲームハードが台所にある風景なんて、少し前では考えられませんでしたね
脳トレがDSおいて、普段ゲームをやらない人達への普及を進めていきました。その結果、翌年2006年には脳トレでDSを買った層にむけたツール系ソフトが、続々とブレイクしはじめます。

脳トレの続編であるもっと脳を鍛える大人のDSトレーニングを筆頭に、英語が苦手な大人のDSトレーニング英語漬けやしゃべる! お料理ナビ、いまさら人には聞けない大人の常識力トレーニングDSなど、いずれも数十万本から100万本以上のヒットを飛ばしています。

これらのヒットは、多くの人へDSというハードの見方を変えさせます。ソフトメーカーは既存のゲーム以外のソフトの開発を考え、ユーザーは大人も子供も、自分のスタイルに合わせて、ゲームを楽しむ人はもちろん、脳活性に使ったり、お料理に使ったり様々な場面で使われるようになっていったのです。

脳トレのヒットを下地にして、DSに多様なソフトが生まれていきます。そして、DSはその役割をさらに広げていくことになるのです。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます