スクウェアエニックスが趣味や教養の分野に進出

2007年4月6日、スクウェアエニックスはニンテンドーDS(以下DS)向けに趣味や教養の分野に特化したシリーズ、DS:Styleをリリースすることを発表しました。スクウェアエニックスといえば、ファイナルファンタジーやドラゴンクエストなど、ロールプレイングゲームで特に有名なメーカーですが、DSの顧客層やそのニーズを捉えて、積極的に新分野に取り組んでいこうという姿勢でしょう。

現在、DSを中心として、ゲームハードはゲーム以外の分野にも積極的に活用されています。ゲームハードをゲーム以外に使う試みは、古くはファミコンの時代から既にありました。英語を勉強できるポパイの英語遊びや、株のトレードができるファミコントレードなどです。しかし、その多くは失敗し、大きな普及には至りませんでした。

スクウェアエニックスがゲーム以外のソフト開発の分野に乗り出すということは、ゲーム業界の枠組みが変わってきていることを実感させる出来事です。今回は、今何故ゲームハードがゲーム以外にも使われるようになってきたのか、そしてそれらがゲーム業界に何を意味するのかについて、考えてみたいと思います。

タッチペンが開拓した新分野

DSとタッチペンの図
初めてDSが発表された時には、タッチパネルを使うという仕様に誰もが驚きました
脳を鍛える大人のDSトレーニング(以下脳トレ)や、しゃべる! DSお料理ナビなどに代表される、ゲーム以外の用途に使われているソフト、これらのソフトを便宜的にツール系ソフトと呼びたいと思います。このツール系ソフトが広く一般に認知された立役者と言えば、もちろん脳トレですね。

2005年5月19日、DS用ソフトとして、脳トレが発売されました。これまでにも、脳を鍛えるというものではありませんが、前述の通りポパイの英語遊びなどと言ったように勉強を目的としたゲームソフトというものはありました。しかし、それらはうまく普及していません。では、今までのツール系ソフトと脳トレとの決定的違いはなんだったのでしょうか? それは入力方法です。

ニンテンドーDSはタッチパネルを搭載していて、画面に直接ペンでタッチして、数字や文字、絵なども書くことができます。脳トレはその機能を利用して、算数の計算をしたり、単語を覚えて書いていくと言ったトレーニングをしていくのです。

ここで重要なことが2つあります。まず1つは機能的な面。今まで方向キーやボタンの組み合わせでしか操作ができなかったものが、タッチパネルという実に多様な表現を入力できるデバイスに変わったことでゲームの可能性が広がり、脳トレのような計算や書き取りを使ったゲームが登場したということがあげられます。

そしてもうひとつ、マーケティング的な面についてもポイントがあります。操作が誰にも分かりやすく、ゲームをしたことが無い人でもすぐに遊べるという点です。Aボタンが決定で、Bボタンがキャンセルで、メニューはセレクトボタンで呼び出して十字ボタンで選択して……、といったようなゲーム的な文法を知らない人でも遊ぶことができます。これによって広いユーザー層に対してアピールするゲームソフトを作ることができたわけですね。

このようにタッチパネルを活用することにより、、中々ヒットしなかったツール系ソフトの分野において、脳トレは今までに無いゲームを今ままでにないユーザー層に提供することに成功しました。そしてこのヒットが、ゲーム業界に大きな影響を及ぼします。