舞台は名山織りなす伝説と温泉の山懐
詳しいコースを知るには、昭文社発行のヤマト高原地図18「妙高・戸隠・尼飾り」の地図と照らし合わせる良い |
名山は多いのですが、その中で日本百名山に数えられる妙高山(2445.9m)、二百名山の黒姫山(2053.4m)、戸隠山(1904m)、飯縄山(1917.4m)、三百名山の斑尾山(1381.8m)の五岳は、信越五岳と呼ばれ、登山者に親しまれ、山麓には燕、赤倉、関温泉など古くからの名湯も多く、降雪豊富でスキー場も数多く開発されてきました。
観光資源としては山と温泉だけでなく、野尻湖や乙見湖、笹ヶ峰高原、沼ノ原湿原、多くの池沼が散在し、戸隠神社といった古社も鎮座、高原植物と美しい伝説に彩られた自然の魅力いっぱいのエリアです。
構想3年、海外のレース体験を生かす
レースを構想して3年を要したという石川氏にとって「海外レースで得た情報と知識を日本の状況を考えた上で新しい大会を作ろう、トレランの新しい雰囲気を作ろうと願いました」という意欲実現するのにやっと巡り会った約束の地といったところでしょうか。トレイルランニングレースの舞台としては魅力十分ですが、どのような考え方でコース設定をしたのか、石川氏は「あえて山頂を結ばなかった。トレイルを走ることを楽しめるコースを設定した」といいます。
実際に山頂に立つのは、五岳の中ではもっとも標高が低いレース序盤の斑尾山だけ。この頂に立ってコースエリア全貌を眺め、ランナーはこれからのイメージと決意をいだくことになるでしょう。
征服ではなく、長くトレイルを走るために
斑尾高原のブナ林のトレイル。落葉のクッションが脚に優しい |
「日本では、長いコースをとれるロケーションがなかなかありません。ここには長いトレイルコースを設定できる環境ができています。例えば、未舗装率は95%以上にもなります。県道や鉄道も交差していますが、すべて立体交差です」と、トレランレースにとってはこのエリアにはインフラが整備されていたといえるかもしれません。
登る高さは山耐の6割
「走るコース」ではありますが、さすがに延長100kmとなると標高差もあります。最大標高差が1320m、累積登坂標高差が約2500m程度。山耐が約72kmの行程で累積登坂標高差が約300mであるのにくらべると、1kmあたりの登る高さは6割程度のなだらかさということになります。トップ選手にとっては、コースがなだらかであればスピードを出さなければならないので別の意味でたいへんなのですが、中級レベル以下ならば楽とはいえないまでも、コースの景色も存分に堪能しながら前進できるのではないでしょうか。