「信越五岳トレイルランニングレース2009」が始まる!
五岳トレの舞台となる信越五岳が展開する(斑尾山から)。相手にとって不足はない? 中央は野尻湖 |
5月21日に原宿「パタゴニア」で行われた発表会場には、レースをプロデュースしたプロトレイルランナー石川弘樹氏、主要な大会会場ともなりレースを主管する妙高市の入村明市長、大会を特別協賛するアートスポーツ、パタゴニアほかの関係者が並び、この大会にかける並々ならぬ決意を披露してくれました。
コースを見下ろす五岳(斑尾山は山頂に登頂、飯縄山は山頂近くまで登頂)。上から斑尾山、黒姫山、妙高山、戸隠山、飯縄山 |
山耐も10回大会ぐらいまでは参加者の中には登山家・ハイカーも多く、初期の大会では革製登山靴での参加者も珍しくなかったほど。山で練習していてもランナーの姿はほとんど見かけることはありませんでした。友人のランナーに山を走ろうと誘いかけても、「山を走るなんてとんでもない」という反応。その理由というのは、山歩きをしたことのないランナーにとっては、未知の世界に対して腰がひけていたのだろうと思います。それが、先駆的なランナーの活躍を見て、「ランナーでも山を走れるんだ」と気がついての人気爆発のようです。
コースを征服するという発想が根底にある山耐
昔から登山レースは日本各地にありましたが、それは郷土の山を舞台にしての脚くらべといった郷土行事的な内容を含んでいました。希代のアルピニスト長谷川恒男氏を記念し、氏の名を大会名に冠した山耐は、そうした郷土色の強い山登り大会とはまったく一線を画した大会。岩場や氷雪こそないものの、山での強さを求めるのが第一義。距離は長く、コース途中には滑落のおそれがある箇所も含まれています。コース整備も必要最小限にしか行わない、サポートはしない(実際には給水ポイントがありますが)という大会ポリシーがそれを物語っています(事故が起きるなどして次第にコースに安全策をこうじるようになりました)。
一般ハイキングコースを使うが故というような理由もありますが、レースの主要な時間帯が夜間になるという特殊性も大会ポリシーからすれば、なんら問題ではない(登山での頂上アタックが始まれば昼も夜もない)わけです。
記録のためにグッズ開発も進んだ
超高所登攀にさまざまなすぐれものグッズが開発されたように、山耐の参加者が増え、トップ争いが先鋭化するにつれてさまざまなトレラングッズが開発されてきました。まさに山耐は山を舞台にしたクロニクルを書き換えるための競走なのです。山耐が定着すると、その後いくつものトレイルランニングレースが生まれましたが、基本的にはそのコンセプトは山耐に近いものと思えます。山頂を目指す、長い縦走路を走破するといった「征服」型の大会がほとんどでしょう(自然保護、登山者の苦情等によって縦走型コースの変更を余儀なくされた大会もあります。実際、山道で2000人の人間に追い越されるとか、すれ違うこと想像するだけでぞっとします。私もその加害者だったんですが……)。
こうしたこれまでの日本のトレランレースとは異なる大会を企図したと石川氏がいう「信越五岳トレイルランニングレース2009」(以下「五岳トレ」)とは、どのような大会なのでしょうか。山耐との違いは……。