運動の質と量を客観的に把握
富士登山競走向けのトレーニングとしては、階段上りもかなりやりました。階段ではFoot PODは正確な距離を出せませんが、いつも同じ階段なので何kmを示せば何往復したのかわかり便利でしたが、最も役立ったのは心拍数がリアルタイムでわかることと、運動レベルの質と量がわかったことです。心拍数は同じ速度で走り続けていても、その設定速度によってさまざまな変化パターンをみせます。たとえば、楽なジョグスピードだと最初はゆっくりと心拍数が上がりますが、ある程度のところで落ち着くとかえって心拍数が下がったりします。トレーンニングとしては強度不足のレベルです。
やや早めの速度だと、心拍数は徐々にですがどんどん上がる一方。ついにはぜいぜいと息苦しくなってきます。このぜいぜいと苦しくなるあたりの心拍数のポイントがLT値のよう。心拍数を、このLT値時の心拍数以下に抑えて走ればスピードを持続できます。管理すべきは速度ではなく心拍数です。
富士登山競走でこの体験を活かしました。ハートレートモニターは装着していませんでしたが、LT値に達するとどのような心拍状況になるのかわかっていたので、スタート直後の富士吉田市街の直線の上りは抑えめ。どんどん抜かれましたがじっと我慢です。馬返しまでのタイムは昨年2007年より6分ほど悪かったですが、五合目以降はよりよいタイムで、疲労感も少なく完走しました。もっとも五合目までは遅くした分混雑に巻き込まれ、山道では速度を上げようにも上げられなかったのが奏功したのかもしれませんが。
アップダウンに惑わされずペースがつかめる
t6cに付属するトレーニングマネージャーによるログ記録のグラフ。心拍数の変化も連続的に記録ができ、どのような時点で心拍数が変化するのか、最大酸素閾値がどのポイントにあるのか容易に把握できる。多機能で研究室での使用に耐えるレベルのソフトだ |
平坦コースのレースなら、速度によるペース配分でもそれほど間違いはないのですが、アップダウンのあるコースだと速度によるペース配分は意味がありません。心拍数によるコントロールがレースメイキングを成功に導きます。
まず必要なことは、スピードを持続できる心拍数を知ることです。これは一人のランナーにとっても一様ではありません。同一ランナーでも、5000mを走りきれる心拍数とフルマラソンを走りきれる心拍数は違うので、その目的に沿った心拍数を知る必要があります。レースでは、その心拍数を保つペースを心がけます。多少苦しいと思っても、心拍数が長続きするはずの値なら次第に落ち着いてきます。
競技力を向上させるためには、通常の練習において、この心拍数を上回るトレーニングを定期的に加える必要があります。この負荷をかけたトレーニングによってLT値を上昇させることが可能。