ジョギング・マラソン/東京マラソン徹底解説&レポート

東京マラソン 失敗のペース、成功のペース(2ページ目)

厳しい天候の中で行われた東京マラソン2007。悪いレースコンディション下でも、自己記録を更新した参加者もいます。何が彼らの明暗を分けたのか? 4人の市民ランナーと上位入賞者のペースから探りました。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

前半早すぎて足が止まった30km

最後の橋、臨海高速鉄道の跨線橋41km地点では歩行者続出
最後の橋、臨海高速鉄道の跨線橋41km地点では歩行者続出
今度は前半型のペースで走った例をご紹介します。最初はBTさん。ランニング歴16年の54歳。過去のフルマラソン歴は13回で、最高は3時間28分52秒。直近半年間は月間180km程度を走っている方です。東京マラソンに掲げた目標は3時間30分00秒。1度コースの試走をしています。月間200kmを切った練習で3時間30分のタイムを出すのは、50代にはちょっと荷が重い感じがするんですが、どうだったでしょうか。

朝食は4時間前におにぎり2個と切り餅4個、現地でバナナ2~3本とパン2~3個(といっても1個が小さかったですが)を食べたというのですからエネルギーの準備は万端でしょう。

下はランパン、上はロングTシャツにランシャツとアームウォーマー、さらに100円ショップで購入しておいたビニールカッパ。前述A・Hさん同様、アームウォーマーが良かったとのことです。

それではラップタイムです。
地点名 スプリット ラップ 所要時間比率
5km 0:23:34 0:23:07 10.16%
10km 0:45:59 0:22:25 9.85%
15km 1:10:58 0:24:59 10.98%
20Km 1:34:21 0:23:23 10.28%
25Km 1:59:06 0:24:45 10.88%
30Km 2:29:56 0:30:50 13.55%
35km 3:01:58 0:32:02 14.08%
40km 3:34:09 0:32:11 14.15%
Finish 3:47:31 0:13:22 5.88%

スタートロスは27秒とわずか。しかし、前半からけっこう出入りの激しいタイムです。これは泉岳寺駅(15kmぐらい)と、26km地点でトイレに行ったから。泉岳寺駅は地下の駅まで往復、26km地点の仮設トイレは4~5分ロスしたそうです。

本人の感想は、前半が早く入りすぎてしまったのと寒さで、30kmから足が動かなくなったとのこと。30kmからは太もも、ふくらはぎに痛みが出てきてついには歩いたり走ったりになってしまいました。長い距離の練習と筋トレを取り入れておけば良かったかなと述懐しています。

ペース作りの点では、スタートしてしばらくの間すごい応援が続き、ついペースが上がってしまうということ。下り坂もあるし、ここでいかに心の平静を保ってはやる心を抑えることができるかが、後に響いてくる最初のポイントだといえるでしょう。結局、一番早い5kmと一番遅い5kmでは1.44倍と5割近い速度の差があります。

辛い思いもしましたが、東京のど真ん中、特に銀座通りを応援を受けて走るのは格別だったと言っています。ぜひまた走ってみたいとのことです。今度は教訓を生かして3時間30分を切ってもらいたいですね。

速すぎた最初の5kmが後々まで尾を引く

ゴールまであと200m。がんばれ!
ゴールまであと200m。がんばれ!
最後に紹介するのはC・Uさんです。ランニング経験は20年の68歳。つまりずっと遅くにランニングを始められた方です。フルマラソン経験も9回と紹介した4人の中では一番経験が少なく、過去の最高記録は3時間46分台ですが、かなり前のことです。直前の半年間の月間走行距離は約200kmで他の方々とほぼ同じ。でも、直前1月は281kmを走って大会に備えました。東京マラソンの目標タイムは4時間30分に設定して臨みました。

では、CUさんのラップタイムです。
地点名 スプリット ラップ 所要時間比率
5km 0:29:30 0:29:08 10.24
10km 1:00:25 0:30:55 10.87
15km 1:31:20 0:30:55 10.87
20Km 2:04:07 0:32:47 11.53
25Km 2:36:24 0:32:17 11.35
30Km 3:11:46 0:35:22 12.44
35km 3:50:03 0:38:17 13.46
40km 4:28:43 0:38:40 13.60
Finish 4:44:23 0:15:40 5.51

最速最遅比率はスタートロスを考慮しなくても1.33倍、時間にして約10分あります。最初の5kmがとても早く入ってます。陸連登録しているおかげで前のほうからスタートでき、スタートロスが少ないのはよかったですが、陸連登録者は速い人が多く、つい周りのスピードに影響されてしまうということがあります。おまけに最初の5kmは下りで、着いていこうと思えばついていけないこともないですから、余計に速くなってしまいます。そして下りきっても、その余韻で速いペースで15kmまで走ってしまっています。

C・Uさんにはこの日の天候も災いしたようです。長袖シャツにロングタイツ、それに配布されたビニール袋をかぶって万全の態勢をとったつもりでしたが、体が温まってきた10kmでビニール袋を捨て、その後に寒さがこたえたとのこと。足にけいれんもきました。体が動かなくなってくると体が冷え、体が冷えるとよけいに体が動かなくなるという悪循環にはまってしまったようです。でも、68歳で4時間44分は立派です。マラソンって何歳からでも始められるし、誰でも完走できるんです。

C・Uさんも、おそらく31分30秒/5kmペースで20kmまで行き、そこから5kmごとに20秒ダウン程度のペースならば現実性があるし、目標の4時間30分でゴールできたのではないかと思います。4時間30分を目標にされている方は参考にしてください。

4人のペース配分からすると、20kmぐらいまでは、5kmごとのタイムを全体の所要時間の11.40%前後に設定するのがよさそうに思います。ところで、入賞者はどういったペースで走っているのでしょうか?
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます