ジョギング・マラソン/ジョギング・マラソンの走り方、トレーニング

わかる!結果を出すためのペース作り(2ページ目)

エリートランナーにも初心者にもマラソンで結果を出すためのもっとも大事なポイントは、上げ下げのない滑らかなペースで走りきること。市民ランナーのための方策をご紹介します。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

ペースメーカー乗り換え作戦で後半勝負!

練習の時からぺーサーに学ぶ
他の選手への付いて走る走り方は、練習でも実行して慣れておこう
イーブンペースで走れば、後半は抜くことが多くなります。そこで…。

やはりあなたと同様、あるいはあなた以上に後半型のランナーがいるものなので、あなたよりちょっと早いランナーが追いついてきたら、そのランナーに乗り換えます。そのランナーが遅れだしたら違うランナーに乗りかえます。数名のグループ状であなたを抜いていくようなランナー群があれば、ぜひついていきましょう。それが30km手前だったらまだ無理してついていく段階ではないので、速すぎると思った時は少し遅いランナーに乗り換え。急行、準急、快速を上手に乗り換えて利用します。ただし、急なスピードの上げ下げは禁物です。ついていたランナーのスピードが落ちてきたときに追いついて来たランナーに乗りかえる。これが理想の展開です。

ライバル見つけてゴールへ向かう

ラストの5kmにもなると、あなたがイーブンペースで走っているなら、抜くことはあっても抜かれることは滅多にありません。もし追いつかれたとしてもそんなに走力の差はないはずです。こうしたランナーには、もう後に付くのではなく並走しましょう。お互いに励ましあい、共に目標をクリアするつもりで走ります。ただついているだけだと、前のランナーが疲労するにつれてスピードが落ちますが、並走していればお互いに競い合うのでスピードが落ちにくいのです。だからといって、疲れているのでゴール前までは急なスピードアップも望めません。お互いに競りあうといっても、スピードの低化をとどめるのがやっとだと思います。しかし、それで上々です。

オリンピックでも、世界選手権でも数々のマッチレースとなった名勝負がありました。自分が見知らぬ相手のランナーと名勝負を作り、共にサブスリーを達成するつもりで走りましょう。それには後について相手に精神的負担をかけるより、共に引っ張り合うつもりで走ったほうがよいのです。5kmも並んで走っていれば、相手も以心伝心でこちらの気持ちが伝わるはずです。相手と目が合ったら「頑張ろうぜ」という気持ちで視線を返しましょう。もしこの並走している間に、逆に後に付いてくるランナーがいてもお構いなしです。気にする必要はありません。それはいずれ落ちるランナーですし、ここまで自分が先行ランナーにお世話になってきたのだから、「恩返しをする番だ、ついていらっしゃい!」というおおらかな気持ちで走り続けたいものです。このリラックスと適度な緊張のある集中した気持ちが続けば、それは終盤の疲れを忘れさせてくれます。

疲れたときはお気に入りの曲でリズムキープ

疲れて来たときに大事なのはリズム。リズムがよければ、体の動きのぎこちなさが解消され、それだけ無駄のない動きができるので持久力を保てます。このリズムを自分で得るには、自分の脳の中にメトロノームか振り子でも想定しておきます。そこで、メトロノームの代わりにテンポのいい曲を頭に刷り込んでおき、走りながら思い浮かべてリズムに乗ります。

そのリズムはどのくらいのテンポがいいでしょうか。これはランナーの能力とそのときの疲労の程度にもよると思いますが、テンポは自ずと可変されますから、ゆっくりとした曲でもいいのです。しかし、慣れないとテンポが乱れるかもしれません。2拍子でも4拍子でも8拍子でも、みんな頭の中で2拍子にしてしまうのですが、3拍子の曲はどうも走るリズムには合いません。途中でテンポが変わるような曲も走りがおかしくなります。

私の場合は、モーツァルトのピアノ協奏曲のアダージョ楽章であったり、ボンジョビの「ランナウェイ」であったりと多彩ですが、これも変化をつけて少しでも疲れを忘れる時間を増やそうという苦肉の策です。ドボルザークの交響曲「新世界」の第4楽章など、景気がよくスケール感があって、走るときのバックグランドミュージックとしては好きです。

記録更新のチャンスは強い気持ちで逃さない!

ゴール直前のラストスパートはもうペースメーカーがいません。もし、途中計時で自己記録が出そうだったら、この際1秒でもタイムを短縮するつもりでがんばりましょう。フルマラソンで自己記録が出せる条件が揃うことは滅多にないので、その機会を最大限に生かさなくてはいけません。「この調子ならここで無理をしなくても次回に自己新を更新できるだろう」などという妥協は棄てましょう。レースコンディション、体調など、諸条件が揃うレースはそう何回もあるものではないのです。

さてレースに戻ります。ゴールをしたらラストを競りあった勝手に設定したライバルや、自分の走りを支えたペースメーカーに手を差し延べて握手し、お互いの健闘をたたえあい感謝の言葉を交わしましょう。我もよく走った、彼もよく走ったとたたえる気持ちがそのレースを印象深い記憶に残るレースにしてくれるでしょう。



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