ジョギング・マラソン/ジョギング・マラソンの走り方、トレーニング

元実業団選手から学ぶストレッチ・ウォーク

故障を予防し、走りを良くするストレッチング。ランナーのためのメニューですが、ウエストや腰回りを引き締めるスタイリングにもどうぞ。今もスタイル抜群、実業団で活躍した土岐真保美さんのコーチです。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

ストレッチングで痛みを軽減しフォームがきれいに

ランニング教室の様子
ストレッチングは、初心者からスピードランナーまでみんなに参考になったテーマ
先日、実業団で活躍された、元NECの村中(現姓土岐)真保美さんと元あさひ銀行の堤文子さんを講師にした、ランニング教室(若葉グリーンメイト主催)が開催されました。読者の皆さんに参考になる内容でしたので、今回はその中で、土岐さんが担当された実技部分の内容をお伝えしましょう。

まず、土岐さんが重視したのがストレッチング。尻周りから爪先にかけて、それから腕振りのための肩周りが中心です。ここまでは、多少経験が加われば、どなたでもやっていると思いますが、土岐さんの講義では、さらに大殿筋のストレッチングが加わっています。

この部分は、ただ足をぶらぶらさせるような走り(ジョギング~低速のランニング)ではほとんど筋肉痛が発生しませんが、ラストスパートをかけたり、スピードトレーニングをすると、てきめんに筋肉痛が発生する個所です。この場合の筋肉痛は、乳酸がたまっての痛みではなく、急激な激しい使用による組織の断裂による炎症ですから、あらかじめストレッチして十分に可動域を広げておくことは、痛み、故障の予防にたいへん意味があります。

スピードを出さないというスローランナーにとっても、可動域を広げておくと、通常の動きも余裕をもって維持できることになります。次回以降で説明する予定ですが、スローランナーでも時々は、スピードトレーニングの実行をおすすめしたいのです。その練習前にはぜひこのストレッチングを取り入れてください。

スローランナーは、激しく筋肉を動かさないので、ストレッチングやウォーミングアップは軽く済ませがちですが、ストレッチングによって、フォームがゆったりとし、バランスも取れてフォームがきれいになりますから、ストレッチングの習慣をつけるようにおすすめします。

土岐さんが特に注意されていたのが、「伸ばす部分を意識する」ということです。これによってただ形だけ真似するのではなく、効果の程をしっかりと感じ取ることができるからです。

一歩進んだストレッチング

■大腿部のストレッチング
前後開脚
前後に開脚して腰を沈み込ませた状態
足を持ってお尻に引きつける
足を持ってお尻に引きつける
片脚を屈曲させて仰向けに
片脚を屈曲させて仰向けに。痛いのを無理したり、弾みを付けて寝ないこと。危険です
足を前後開脚します。後脚のかかとは必ず接地します。膝は伸ばしたまま前脚の膝を曲げて重心を前に移動すれば、後ろ脚の膝裏を伸ばします。体重を後に移動して、後脚の膝を屈すればアキレス腱を伸ばします。(ここからは後ろ足のかかとが上がって結構です)そのまま腰を落としこむと、股間を広げ後ろ脚の前部大腿筋(大腿四頭筋など)を伸ばします。

ここまでは通常よくやるストレッチングだと思います。ここで後脚の膝を接地し、足首をつかんでお尻に引きつけます。顔を上げ胸を張りましょう。これによって大腿の前部を強力に伸ばします。足を蹴り上げたときに、弾みでグンと引き伸ばされ、あとで痛みが出る場所です。立ったままでやるときは、片足立ちし(安定が悪いので、なにかにつかまってでよい)足首をつかんでお尻に引きつけます。さらに強力には、その姿勢を仰向けに寝て行います。体が柔らかくないと完全に仰向けには寝られないでしょう。

■大殿筋のストレッチング
お尻を接地し、右脚を左脚の下に交差してかかとがお尻の左側に接するくらいに回りこませます。左脚は右脚の腿の前に膝を立てて置きます。脚を深く交差させる形です。体を左にひねってなるべく左後方を見、右手で左脚の膝を右へ押しやるようにします。このとき顔は上げて前方を見、胸も張るようにします。これを交互に行います。

■もう一つの大腿筋のストレッチング
脚を組んでお尻を浮かせる
脚を君でお尻を浮かせる。手はなるべく前について上半身が起きている方が効く
膝を立てて腰を下ろします。片足を反対側の膝のちょっと上にかけます。手を体の両側の少し後ぐらいに着き、腰を浮かせます。スピードを上げると大腿部をグンと引き上げますが、この時に筋がグイっと引っ張られ、あとで痛みが出る個所(大殿筋、大腿二頭筋など)です。

初心者によくみられるのは、開脚角度が狭いためにストライドがかせげずタイムが遅くなるパターンです。その原因は主として、筋力が足りず蹴りが弱い、開脚角度が少ないというものですが、可動域を広げることによって脚を広く出す走りが楽になってきます。
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