ミステリー小説/ミステリー小説関連情報

新刊は警察小説が豊作!(3ページ目)

2月から3月にかけて、なぜか読みごたえのある警察小説が続々と出版されました。ビターだけど格好いい、大人のためのミステリーをどうぞ。

執筆者:石井 千湖

公安の窓際刑事と謎の自衛官がテロリストを追う!福井晴敏『op.ローズダスト』

op.ローズダスト
登場人物が追い求める“新しい言葉”とは? 実在の企業を彷彿させるネット財閥も出てきます。
短期間で“ネット財閥”と呼ばれる一大帝国を築いたアクトグループ。その関連会社の役員が爆弾テロで殺されるという事件が起こり、警視庁と防衛庁が異例の合同捜査をすることになります。2つの組織をつなぐ役として選ばれたのが、公安部の窓際刑事である並河次郎と自衛官の丹原朋希。親子ほどに年齢のちがう二人が“ローズダスト”と名乗る犯行グループを追うというストーリー。

冒頭、波の花に“ローズダスト”という名前をつけるシーンから非常に映像的。警察が警戒するなかあっさりとターゲットを爆殺するテロリストとの戦いもド派手。警視庁と防衛庁という組織同士の攻防もスリリングだし、事件の裏で暗躍する黒幕もいる。そして危機に直面して腹を決める大人たちが格好いい。上下巻でとても分厚いですが、一気に読めます。

ちなみにYahoo!ブックスで私(ガイド)が著者インタビューしていますので、よかったら読んでみてください。福井さんが描きたかった“新しい言葉”とはどんなものか、ヒントになるかも。

『脳男』の著者、待望の長篇新作!首藤瓜於『刑事の墓場』

刑事の墓場
ダメ刑事達の胸のすく活躍を描く警察小説とのこと。楽しみです!
心を持たない男を描いた乱歩賞受賞作『脳男』で鮮烈なデビューをかざったのが2000年。交通課の新米警官の地味な日常を描いた2作目『事故係 生稲昇太の多感』の出版が2002年。実に4年ぶり、待望の新刊がもうすぐ発売されます。しかも書き下ろしの長篇小説!

挫折したエリート刑事・雨森が“刑事の墓場”と呼ばれる小さな警察署に配属される。そこにいるのはやる気ゼロ、プライドなしの「拗ね者集団」。だがある傷害事件が県警全体を巻きこむ大事件に発展し、ついに拗ね者たちが立ち上がる!……という話らしいです。

あらすじだけ読むとちょっとありがちなパターンに思えますが、そこは『脳男』の著者。きっと予想を裏切ってくれるはず。

<関連ガイド記事>
祝・吉川英治文学新人賞!今野敏『隠蔽捜査』『隠蔽捜査』は警察庁のキャリア官僚を描いた傑作警察小説。

<関連リンク>
Yahoo!ブックス福井晴敏インタビュー主に“新しい言葉”とは何かと、なぜ世代の異なる人間を組ませるのかについてうかがいました。
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