天真爛漫な女の子に内気な男の子が恋をする片想い小説『夜は短し歩けよ乙女』で大ブレイク! 本屋大賞にもノミネートされ、注目度が高まるモリミーこと森見登美彦氏の現時点の全著作とその魅力を紹介します。

天真爛漫な女の子に内気な男の子が恋をする片想い小説『夜は短し歩けよ乙女』で大ブレイク! 本屋大賞にもノミネートされ、注目度が高まる森見登美彦氏の現時点の全著作とその魅力を紹介します。

日常の90パーセントが妄想!?『太陽の塔』

太陽の塔
モテない大学生のクリスマスええじゃないか騒動。
主人公は、生まれて初めてできた恋人・水尾さんに振られ、彼女の周りをうろうろする大学生。ほとんどストーカーですが、その行為を「水尾さん研究」と称してレポートにまとめたり、恋敵にゴキブリキューブを贈ったり、その行動のあまりの馬鹿さ加減に爆笑してしまいます。モテない仲間たちとの妄想トークも愉快です。第十五回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しました。

★森見ワールドの魅力その壱:めくるめく妄想

女の子に縁がない男たちの楽しみが妄想。例えば、主人公と友人の飾磨(しかま)は、全く話したことのない女性の身の上(大酒を飲んで働かない父がいて、家計を助けるために日夜働いている、とか)を勝手に作り上げる。そのとき出てくる飾磨のセリフが傑作。

「我々の日常の九〇パーセントは、頭の中で起こっている」

無意味で楽しい毎日『四畳半神話大系』

四畳半神話大系
四畳半パラレルワールド・ストーリー。
大学に入学すると、新入生はさまざまなサークルに勧誘されます。主人公が興味を持ったのは、映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」という奇想天外なビラ、ソフトボールサークル「ほんわか」、秘密機関<福猫飯店>。どこに行くかによって、大学生活のディテールが変化する。主人公が住む四畳半の部屋を主な舞台にしたパラレルワールド・ストーリーです。悪戯好きの親友・小津と過ごす無意味な毎日が楽しい。

★森見ワールドの魅力その弐:文体と内容のギャップ

近代文学を彷彿とさせる大仰な文体で、語られるのはラブドールの誘拐や、浴衣が桃色に染められるといった珍騒動。この落差が笑いを生むんです。魚肉ハンバーグのようにぷりぷり怒るというような、愛嬌のある言葉を選ぶセンスも絶妙。

コラム:京都大学出身の作家

京都大学
1925年に誕生したという時計台。カッコいい。
近年の京都大学出身作家で思い浮かぶのは、『十角館の殺人』で衝撃的デビューを果たした新本格ミステリの旗手・綾辻行人、在学中に『日蝕』で第120回芥川賞を受賞した平野啓一郎、本屋大賞の候補にノミネートされた『鴨川ホルモー』の万城目学など。

京都大学ミステリ研究会出身作家が中心を成した新本格ムーブメントはクラシックな探偵小説の面白さを再発見させましたし、『日蝕』は擬古調の文体が話題になりました。『鴨川ホルモー』は京都の大学に古くから伝わるユニークな行事を中心にした小説です。

日常生活を送る場所に普通に名所旧跡があったりするからでしょうか。京大生(に限らず京都の若者)は、古いものが好き!?
端正な怪談とキュートな片想い小説で大躍進!>>>