ミステリー小説/ミステリー小説関連情報

森見登美彦、全作解剖!(2ページ目)

天真爛漫な女の子に内気な男の子が恋をする片想い小説『夜は短し歩けよ乙女』で大ブレイク! 本屋大賞にもノミネートされ、注目度が高まるモリミーこと森見登美彦氏の現時点の全著作とその魅力を紹介します。

執筆者:石井 千湖

骨董屋の周辺で起こる怪異『きつねのはなし』

きつねのはなし
理屈で説明できない恐怖を描く。
骨董店・芳蓮堂の周囲で起こる、妖しく美しい四つの怪異を描いた短編集です。芳蓮堂でアルバイトをする大学生と謎の男の奇妙な取引きの顛末「きつねのはなし」 、龍の根付を残して失踪した先輩の秘密「果実の中の龍」他、「魔」「水神」の二編を収録。前二作とまったく異なる面白さがあり、作風の幅が今後広がりそうな可能性を感じさせます。

★森見ワールドの魅力その参:懐かしい和風アイテム

本書に登場する狐のお面。馴染みのあるものだけに、怖さが増すのです。他にも『太陽の党』の招き猫、『夜は短し歩けよ乙女』の達磨など、懐かしい和風のアイテムが小説の小道具として効いています。

キュートでポップな片想い『夜は短し歩けよ乙女』

夜は短し歩けよ乙女
天才的に可愛い!  「黒髪の乙女」
春の終わり、夜の先斗町から始まるキュートでポップな片想い小説です。四季折々、京都の町で出会うヘンテコな人たちと珍事件の数々を、天真爛漫な「黒髪の乙女」と彼女にひそかに想いを寄せる「先輩」、双方の視点で描いています。想いをなかなか伝えられず、彼女という城の外堀を埋め続ける「先輩」。彼の煩悶に気がつかない、天然キャラの「黒髪の乙女」。ふたりの恋の行方はもどかしくも愛らしい。

★森見ワールドの魅力その四:奇人変人大集合

三階建の電車に住むお大尽・李白さん、飄々としているが正体不明の青年・樋口さん、酔っ払うと人の顔を舐める美女・羽貫さん、恋の願掛けのため前人未到の「パンツをはきかえない」記録を打ち立てるパンツ総番長……。森見ワールドには愛すべき奇人変人が大集合。

コラム:鴨川等間隔の法則

鴨川デルタ
出町柳駅周辺から見た鴨川デルタ。
作中でさまざまな騒動の舞台になる鴨川周辺は、京都の若者にとって最もメジャーなデートスポット。河原には、カップルがなぜか等間隔に並んで座る光景が見られます。これを「鴨川等間隔の法則」と呼ぶのだそう。

東京で隅田川デートする大学生なんて、桜と花火の時期しかいないのではないでしょうか。鴨川の何が若者を惹きつけるのか。不思議。でも、街中にあるのになんとなく大らかな景色で、京都に行ったときに散歩したら気持ちよかったです。


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