若竹七海のミステリーな著作群

『ぼくのミステリな日常』
12編の作中作を内包する短編集にして、その著者を探す長編でもある――スマートな技巧が凝らされた記念すべきデビュー作。
若竹七海は1963年東京都生まれ。立教大学文学部卒。学生時代に広告誌のレビュー欄を担当し、業界紙の編集部などに勤務した後、1991年に連作短編集『ぼくのミステリな日常』で小説家デビュー。第38回江戸川乱歩賞候補作『閉ざされた夏』に代表される青春ミステリーのほか、私立探偵・葉村晶の活躍するハードボイルド、パニック小説『火天風神』、歴史ミステリー『海神の晩餐』などで人気を博している中堅作家だ。ちなみに小説以外の著書には2冊の旅行記――『マレー半島すちゃらか日記』(加門七海、高野宣考との共著)と『英国ミステリ道中ひざくりげ』(小山正との共著)がある。

コージーミステリーへの愛着

ハードボイルドの対立概念として生まれたコージーミステリーでは、女性のアマチュア探偵が小さなコミュニティの事件を(暴力抜きに)解決することが多い。アガサ・クリスティの〈ミス・マープル〉シリーズ、テレビドラマ〈ジェシカおばさんの事件簿〉シリーズなどをイメージすれば解りやすいだろう。若竹はその熱心なマニアであり、自らも――架空の街を舞台にした――コージーミステリーを数多く手掛けている。いわばこの分野の日本における第一人者なのだ。

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