男の夜遊び/クラブ・カラオケ・音楽コラム

お立ち台はなぜ潰れないのか?(2ページ目)

ド派手なボディコンにジュリ扇で世の男性たちを魅了したジュリアナ娘たち。ジュリアナは消えたがお立ち台は消えず。ということで、ジュリアナ文化の総括とお立ち台の現状を探ってみました。

大脇 克浩

執筆者:大脇 克浩

男の夜遊びガイド

ジュリアナスタイルとお立ち台の定義とは?

当時の『ジュリアナ』の入場料は5000~6000円と現在のクラブに比べ非常に高く、お金に余裕のある社会人が多く集まっていた。「私たちは純粋にダンスを楽しんでいるだけ」。当時、女性たちからはそんな言葉が多く聞かれた。まぁ、今から思えば、軽いナンパはお断り、という思いからだったのだろう。本音はやはり、女性たちがお立ち台からフロアへ降りたときに「踊り良かったね、可愛かったね」と男性から声をかけられるステータスだったに違いない。

男を文字通りコンシャスするためにボディコンを着て、原色でヒラヒラの羽扇子、いわゆるジュリ扇を上下左右に旋回させ踊るお立ち台文化。後に「クリスタルサイドステージ」と名前を変え、高さも面積も縮小して再登場したお立ち台が根付かなかったことを考えれば、"お立ち台に上がれるくらいの女"というブランドを身につけて、女性から男性を選べる環境を作り、自分を高く売ろうとしていたのは間違いない。

では、お立ち台の定義とは、いったい何だろう。僕の友人でありお笑い芸人でもある芦沢教授によれば、基本的には女性しか上がれない代物らしい。ディスコと呼ばれる箱の方が高い傾向にあり、『ジュリアナ』のソレは男性の肩ぐらいまで高さがある特設ステージだった。これほどまでに高いお立ち台は他に類がなく、踊っている女性がいかに目立てるかを追求した結果なのだ。ジュリ扇やボディコンも同じ理由である。

お立ち台で踊りたい。女性エピキュリアンならそんな思いにかられたことがあるだろう。けれども、お立ち台デビューにはいくつものハードルがある。お立ち台を我が物顔で占拠する常連女性の派閥があり、新規がオイソレと上がっても蹴落とされる。奇抜なファッションで身を固めることはもちろん、いかに腰をクネクネさせてダンスできるかなど、それらをクリアーし初めてお立ち台に上がり続けられたのだ。

『ジュリアナ』と『マハラジャ』の違い

ディスコ・エイティーズ・プレゼンツ・マハラジャ・ナイト
ディスコ・エイティーズ・プレゼンツ・マハラジャ・ナイト(エイベックス・トラックス)。80年代ディスコ・ブームの象徴的なヒット曲が満載だ
ところで、他のディスコのお立ち台はどうだったのだろう。当時の状況は、僕なりの基準に照らすと、もう一つ大きな流れがあった。それは『マハラジャ』系のディスコを主体とするパラパラ文化である。

『ジュリアナ』との違いは、パラパラなのかジュリ扇か。何を言ってるのかさっぱり分からん。そんな読者も多いと思うが、簡単に言えば、振り付けのあるお立ち台が『マハラジャ』系で、振り付けのないお立ち台が『ジュリアナ』である。ユーロビートを主体とする『マハラジャ』系はいかにパラパラが上手いかで勝負が決まっていたが、ジュリアナはいかに腰をクネクネできるか、いかにエロいダンスをするかで勝負をしていた。

ユーロビートには5000曲ぐらい振りが付いているが、ハイパーテクノ=ジュリテクには600曲しか振りがなく、歴史も浅い。ジュリテクに振りが付いたのは安室奈美恵の「トライ・ミー」が流行する以降のことらしい。

では、『ジュリアナ』と『マハラジャ』のお立ち台の違いだが、高さの違いは言うまでもないが(『マハラジャ』の方がいくぶん低かった)、パラパラが上手だったり、自分の知らない曲の振り付けを踊れたりしたらお立ち台に上げざるを得ない、という実力主義の世界が特徴だ(『マハラジャ』は男性もお立ち台に上がれた時期があったという)。

ご存知の通り、パラパラとは振りを覚えてみんなで踊るもの、いわば学生時代のクラブ活動にノリが近い。読者の方も突然、昔汗を流したテニスやらサッカーやらで体を動かしたい衝動にかられたことがあるハズだ。だから『ジュリアナ』のクネクネ・ダンスと違い、だから今も渋谷の『クラブJ』や学パー(=学生パーティ)、一部クラブイベント等で根強く生き続けているのだろう。


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