男の夜遊び/クラブ・カラオケ・音楽コラム

お立ち台はなぜ潰れないのか?

ド派手なボディコンにジュリ扇で世の男性たちを魅了したジュリアナ娘たち。ジュリアナは消えたがお立ち台は消えず。ということで、ジュリアナ文化の総括とお立ち台の現状を探ってみました。

大脇 克浩

執筆者:大脇 克浩

男の夜遊びガイド

君は『ジュリアナ』に行ったことがあるか。

ディスコが死語に等しい昨今、などと大上段にぶちあげるのもどうかと思うが、30代以上のエピキュリアンなら先刻ご存知の通り、『ジュリアナ東京』は1990年初頭に一大ムーブメントを巻き起こした田町の伝説的な巨大ディスコだ。そして、『ジュリアナ東京』を語る上で最重要キーワードになるのが"お立ち台"。

というわけで、今回は僕が見たり聞いたりした話を元に、僕なりの基準に照らしてディスコのお立ち台を特集したい。

伝説の巨大ディスコ『ジュリアナ東京』誕生

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2000人収容の巨大ディスコだった『ジュリアナ東京』。30代以上の方にとっては懐かしい(写真はイメージ)
元々ポールダンスやショーケースでダンサーが踊る場所だったお立ち台を一般に開放したところ、他の来場者を見下ろせる環境が評判を呼び、目立ちたい女性たちに圧倒的な支持を得た。目立ちたい女性、というのはディスコの常連であることにステータスを感じ、そして、自分たちを軽くみるようなナンパの類いの行為に嫌悪感を感じる女性のこと。つまり、お立ち台で踊る女性たちは、一段低いフロアで踊る男性たちを見下ろしつつ、お立ち台に上がれない女性たちにも優越感を得ていたようだ。

そして、『ジュリアナ東京』はいかにして誕生し、お立ち台の代名詞的に語られるようになったのか。

お立ち台は女性にとってのVIPルーム

DISCO 90’S presents THE BEST OF JULIANA’S TOKYO
『DISCO 90’S presents THE BEST OF JULIANA’S TOKYO』(エイベックス・トラックス)。かつてのヒット曲を楽しんでみる!?
ハイエナジーやユーロビート全盛だった1990年初頭、ハイエナジーの中でもバブリーなテイストの音を基本としたディスコだった『ジュリアナ東京』。総面積は1200m2、最大で2000人を収容できる規模だったという。

バブリーなテイストの音、と聞いて代表的なのは今ではSM嬢に扮した女芸人・西岡すみこの登場曲で広く知られるMAXIMIZORの「CAN'T UNDO THIS!!」のような音のこと。高いキーの電子音で始まる「チャンチャンチャー、チャチャチャ…」というアレだ。これらはハイパー・テクノと呼ばれ、後にジュリアナ・テクノ、略してジュリ・テクと呼ばれるようになる。

女性は誰彼構わずな、見境無いナンパは嫌い。自分たちが男性を選べる場所が欲しい、自分たちが男を見下ろせる環境が欲しい。つまり、女性が優越感を得られる環境を作るためにお立ち台が必要だった。お立ち台は女性にとってのVIPルームとして機能する格好の場所だったのだ。そして、女性が集まれば男性も集まる。そう、平たく言えば女性目線のナンパ箱として『ジュリアナ東京』が誕生した。

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