テクノポップ/フューチャーポップ

Perfume対談~ライヴ論(2)(4ページ目)

しつこく、博士登場。Perfumeのワンマンライヴ、今度はちゃんとライヴ楽曲対談のつもりが・・・脱線する二人。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

エレクトロ・ワールド

先生:
Perfumeにはユーロやトランス方面には行ってほしくないですね。茶髪もNGです。ギャル・カルチャーですから。

「エレクトロ・ワールド」の振り付けも良く出来ていますよね。あの手を振って回るのは真似をしたがる子供が多いと思います。 子供はテクノが好きなんで、NHKと蜜月関係になるためにも、次は「みんなのうた」を狙って欲しい。「おしりかじり虫」もテクノですからね。この前、PerfumeはNHKの「天才てれびくんMAX」にも出ていましたしね。

博士:
子供カルチャーへの進出は、ある種の格付けというか、安っぽいアイドルと一線を引く意味で有効ですね。NHKとの蜜月関係は今後のキーワードかも知れません。紅白願望も強いですからね。

ちなみに個人的に最も気に入ってる曲が「エレクトロ・ワールド」ですね。「バタフライ」が大ブレイク直前の倖田來未、例えば「Chase」とか「Real emotion」とか楽曲的に完成度の高い曲が結構有ります。ブレイク前夜に見せる作家の奇跡ですね。「エレクトロ・ワールド」はPVも含め、日本のテクノ史に残る名曲だと思います。往年のディズニー映画「トロン」を思わせる映像が、まさにレトロフューチャーですね

パーフェクトスター・パーフェクトスタイル

先生:
「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」は確か、メンバーもかなりお気に入りの曲です。乙女ハウス的で、10代の女の子にも受ける要素があります。この曲はPerfumeにとっては一つの転機ですね。

博士:
中田節の特徴が最も良く現れた曲ですね。 この曲あたりから作詞も中田氏になってきますね。

木の子さんの詞がやや毒のあるアバンギャルドな内容なのに対し独特の美意識があるのが中田氏の特徴です。作詞も行うことで中田氏の世界観はより純粋度を高めPerfumeの世界観も確立してきます。
ただ黎明期の楽曲と違って、木の子さんの歌詞は決して極端に今のPerfumeの世界観に反するものでもなく、また違った意味で良い世界観を構築していました。

「リニアモーターガール」までの数曲のコラボは偶然と言う奇跡が生み出した珠玉の作品と言えるかもしれません。

そういう意味でも「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」は「スウィートドーナツ」の段階ではまだ遠慮がちにアイドル歌謡に迎合していた中田がやっとcapsuleの手法を取り入れ、自分の世界観でPerfumeを作り上げた記念すべき楽曲でしょう。ちなみにこの曲では中田氏にしては珍しく後半アドリブ臭いオブリガードが延々と歌に絡みます。クールな中田氏にしては珍しいアプローチです。

スウィートドーナツ

先生:
「チョコレイト・ディスコ」の指で輪を作って目に持っていくのは、なんなんでしょー。CHOCOLATEの“C”ですかね。「申し訳ないと」で掟さんも盛んにやっていましたが。

博士:
名曲は“らしくない”曲に多いですね。大ブレイクした歌手が二曲目以降、同じような曲ばかりだったりするのは、ブレイク曲がたまたま“らしくない”傑作だったと言う訳でしょう。「チョコレイト・ディスコ」と「リニアモーターガール」はあまり中田らしくなく、かと言って「スウィートドーナツ」の様に何かに妥協する訳でもなく、もしかしたら中田氏の新たなる可能性を示しているのかも知れません。特に「チョコレイト・ディスコ」の一拍目からガツンと入るメロディーは例えばボロディンの“ダッタン人の踊り”の様な、何か妙な旋律感が有ります。こんなメロディー普通では浮かびません。
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