世界遺産「アンコール」の歩き方
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ジャングルに浸食されたペンメリア。この遺跡はアンコールとは別に、「ペンメリア遺跡群」としてカンボジアの世界遺産暫定リストに記載されている
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朝焼けのアンコールワット
はじめてアンコールを訪れるなら、効率的に見所を回れるツアーが快適だ。アンコール見学の起点となるシェムリアップには日本語ガイドを含むさまざまな現地ツアーがあるので、ガイドをつけて訪ねてみよう。
個人で回りたい人は、運転手つきでバイタク(バイクタクシー)やトゥクトゥクを借りたり、レンタルバイクやレンタル自転車でも訪ねられる。バイタクやトゥクトゥクは1日十数ドルからで、トゥクトゥクの場合はふたりでシェアすることもできる。ホテルに問い合わせると信頼できるドライバーをアレンジしてくれる。
起伏がそれほどないのでアンコールワット、アンコールトム、タ・プローム程度なら自転車でも問題ないが、盛暑や雨季は少々きつくなる。レンタル自転車は1日1~5$程度で、自転車の種類や店によって値段が異なる。ホテルによってはレンタルを行っているほか、オールドマーケット付近に店が並んでいる。
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プノン・バケンから見たアンコールワットの夕景
外せないのはアンコールワット、アンコールトム、タ・プローム、そして夕方のプノン・バケンだ。
プノン・バケンからの眺めは格別で、アンコールを囲うジャングルを一望することができる。夕焼けに染まるアンコールワットはなんともロマンティック。
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巨大なゾウの彫刻が四方を守る東メボン
上に加えて、早朝アンコールワットの背後から昇る日の出、バンテアイ・スレイ、ベンメリアをオススメしたい。
ペンメリアはバンテアイ・スレイからさらに1時間と少々遠いが、タ・プローム以上にジャングルに浸食された遺跡で、崩壊した遺跡をよじ登り、木々の抜けて探検気分で見学できる。周辺には、ピラミッド状の都市遺跡コーケー、シェムリアップ川の源流クバール・スピアン、聖なる山プノン・クーレンなど見所が多い。
時間があったらカンボジアのもうひとつの世界遺産「プレア・ヴィヒア寺院」も訪れたい。シェムリアップから車で片道3時間ほどかかるが、山頂から望む景色は抜群だ。個人的に大好きな世界遺産のひとつでもある。プレア・ヴィヒア寺院とベンメリアを合わせた現地ツアーも存在する。詳細はリンクの記事を参照のこと。
カンボジアの世界遺産はふたつしかないが、シェムリアップ周辺にあるコーケーやベンメリア、バンテアイ・チュマール、ソンボー・プレイ・クックは世界遺産暫定リストに記載されている。
遺跡ではないが、トンレサップ湖の水上村落や水上市場なども楽しんでおきたいところだ。こちらもシェムリアップから多彩なツアーが出ている。
アプサラダンスと世界無形文化遺産「スバエク・トム」
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カジュマルとタ・プローム。その姿は美しいが、木々による崩壊は日々進んでおり、タ・プロームを修復すべきか崩壊にまかせるかで議論が沸いている
また、シェムリアップでは「スバエク・トーイ」という影絵も見学可能だ。こちらの影絵は『ラーマーヤナ』や『マハーバーラタ』といったヒンドゥー神話を影絵芝居で表現したもので、クメール・ルージュの時代に人形師がいなくなって断絶の危機にあったが、近年復興されつつある。
ちなみに、大型影絵「スベエク・トム」はユネスコの「人類の口承および無形遺産の傑作の宣言」に選出され、無形文化遺産として登録されている。現在はティー・チアン劇団などが伝えている。