■キーボードマガジンの別冊として登場したデジタル・ミュージック・マガジン
手元にある雑誌群として、次に古くあるのもやはり
リットーミュージックの
DIGITAL MUSIC MAGAZINEでした。正確には
キーボードマガジン別冊という位置付けのムックだったのですが、85年6月のNo.1が創刊号。この誌名を見て、おや?と思った方もいるかもしれませんが、後に登場したフリーペーパー、ミュージックネットワークの同名誌とは無関係です。サブタイトルに
「キーボーディストのためのMIDI活用法フル・パッケージ」とありますが、この時代はYAMAHAの
DX7、Rolandの
JX-8P、
JUNO-106、KORGの
POLY-800という正にMIDI第一世代のキーボードが登場してきたころです。こうした機材をどうやってコントロールするのか、というのがメインのネタとなっていました。実際、創刊号の記事を見ても、
MIDIシンセサイザー徹底使いこなしマニュアル、
MIDIチャンネル・セミナー、
MIDIインターフェイスのすべて、といったものが並んでいました。が、残念ながらこの雑誌自体はNo.4をもって休刊となってしまいました。
■テクノサブカルチャー誌的要素を持ったTECHII![]()
その次に登場したのは、
音楽之友社が発行していた
TECHII(テッチー)という雑誌。創刊は86年6月号で、88年12月号までの2年半、発行されていました。Webで検索してみたら、当時を懐かしむ人によるサイトも発見しました(
Special&Archive !(TECHII-TOP))。これは
サンレコなどとはだいぶ違い、音楽制作向けとかDTMというよりも、アフターYMO時代のアーティスト紹介サブカルチャー雑誌といったイメージのものではありました。それでもDTMネタがあったり、
藤井丈司のシーケンス相談室、
飯尾芳史のスタジオ・ワーク相談室といったものがあるなど、結構面白い記事満載の雑誌だった記憶があります。まあ、この辺のネタは
テクノポップの四方宏明さんが詳しいあたりまもしれませんが。
ところでこの
TECHIIは発行こそ
音楽之友社でしたが、編集自体は
シナジーという会社が担当していました。この
シナジーは後の
シナジー幾何学に社名変更した会社であり、CD-ROMのコンテンツメーカーとして世界的にも有名になった会社でもあります。残念ながら98年末に倒産してしまいましたが、創業当初は編集プロダクションだったんですね。って人ごとのような書き方ですが、この
シナジーはこのDTM雑誌の歴史を語る上で、かなり重要なポジションにいた会社であり、この後にも登場してくるのでお楽しみに。