■WaveTableシンセサイザの仕組み
SoundFontの仕組みを解説する前に、一般のWaveTableシンセサイザの仕組みについて、ごく簡単に見ておきましょう。
ここでいうWaveTableシンセサイザとは、現在もっとも一般的な音源のことで、EDIROLやYAMAHAのDTM系の音源はもちろんのこと、Roland、Emu-Ensoniq、KORG、KAWAI、CASIO……とほとんどのメーカーが出しているシンセサイザがWaveTable音源となっています。
ちなみにWaveTable方式でないシンセサイザというと、昔のアナログシンセサイザやFM音源シンセサイザ、最近では物理モデリング音源とかバーチャルアコースティック音源と呼ばれるものがあげられます。
このWaveTableシンセサイザを一言でいえば、デジタル的に録音(サンプリング)したサウンド(=WaveTableデータ)をそのまま再生する方式の音源。ピアノの音を録音し、それをそのまま再生させるのだから、出てくる音がピアノそっくりなのは当然といえば当然です。一番いいのは、ドレミファソラシドとそれぞれの音を1音ずつ録音し、再生する際も、それぞれを鳴らすこと。しかし、61鍵盤あるものを全部録音していたら、かなりのデータ容量となってしまうし、強く弾くか弱く弾くかで音色が異なることもあります。さらに音の長さによっても雰囲気が異なるし、ペダルを踏んでいるか放しているかによっても音は変わってくるので、単純な録音と再生だけでは実現は不可能です。
そこで、WaveTableシンセサイザでは、代表的な音をいくつか録音して、それをデジタル的に処理することで音程を変えたり、強さ、長さを変化させても、自然な感じで音を出すことを可能にしているのです。また、その際WaveTableデータをシンセサイザ機能によってデジタル処理を施すのですが、その処理の仕方を決めるパラメータを設定することができ、このパラメータとWaveTableデータをセットにしたものが音色データとして音源内のROMに保存されているわけです。ちょっと難しくて分かりにくかったかもしれませんが、なんとなく理解できれば十分です。