長期契約でも「メンテナンス不要」ではない!
適切な火災保険金額は時間とともに変わるもの。定期的な見直しを
そもそも、火災保険の役割とは、失われた建物価値を穴埋めすることにあります。そのため火災保険では原則として、建物の「現在価値」に合わせて保険金額を設定することが前提となっています。しかも、契約時に正しい金額で契約していても、時間の経過とともに建物の現在価値は変わっていくので、定期的な見直しは必須です。火災保険金額は、多すぎても少なすぎてもうまく役立たない可能性がありますが、いくら保険料が安くても、いざという時役立たなければ意味がありません。
たとえば、新築時2000万円の建物に、2000万円の保険金額を設定するのは適切です。ところが、それから20年経てば、その時点で再入手するための金額は2000万円ではなくなる可能性があります。たとえ再調達価額(再取得価額)ベースで契約していたとしても、新築から20年後の建築コストが上昇していれば、2000万円の保険金額では同じ建物を再建することはできません。
このように、建物の価値は時間の経過による変化がつきものなので、火災保険契約を数十年単位でほったらかしにしておくと、いざという時思うように役立たない可能性もでてくるのです。しかしながら、火災保険は1回契約すると、その後はついほったらかしになりがちなもの。そこで、長期契約を結ぶなら、保険金額が適正かどうか5年ごとぐらいにチェックが必要だと覚えておいてください。それがいざという時保険を役立てるための前提なのです。契約手続きは1度で済んでも、長期契約にメンテナンスが不要ということではないのです(「火災保険と生命保険は同じではない」参照)。
短期間の契約なら実態からずれにくいメリット
補償にも優先順位をつけよう
また、火災保険にも自由化が進んでいます。最近でも消費者保護を強化した保険法の成立などもあり、新しい火災保険商品も登場してきています。また、数10年のうちには、新しい火災保険が出てくる可能性もあるでしょう。
一方、保険料の割引はありませんが、1年契約の場合は、保険金額が適正かどうかを毎年確認することが容易です。長年のほったらかしによる実態と契約内容の乖離が起きにくいはずです。ただし、内容の確認をせずにただ更新するだけでは、長年ほったらかしにするのと同じことになりますから、ご注意を。
そこで、保険料の割引を享受しつつも、毎年の契約の手間を省き、実態との大きな乖離を防ぐなら、5年間ぐらいの保険期間が適当かもしれません。また、保険料を抑えたい場合には、保険期間に優先して、火災保険の補償内容がわが家にとって適切かどうかのチェックをし、まずは補償に優先順位をつけることをお勧めします。
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