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(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

その代役を立派にこなし、二番手という時期をほとんど過ごさぬうちに、博多座公演『あかねさす紫の花』『Cocktail』より花組トップスターに。

そして『エリザベート—愛と死の輪舞—』で本公演お披露目。それは鮮烈なデビューでした。

登場し、歌い出したその瞬間から、観る者、聴く者の心を捉えて離さない…。鳥肌が立つほどの迫力と、妖気から出る香気。


その後演じた役の数々——。

主水正の初々しさ。虹人の清らかさ。『天使の季節』2役の面白さ。アリ・アディナンの爽やかさ。光源氏の匂い立つ美しさ。

自然な演技でこれまでとは違う春野寿美礼を見せた『La Esperanza』のカルロスでは、第59回芸術祭新人賞を受賞しました。

哀愁を帯びたリュドヴィーク、精彩で軍服姿が美しいヴィットリオやルドルフ、包容力あふれるアンドレ。他の誰にもこの味は出せないと感じた色気ある明智小五郎……。どれもが魅力あふれる男たち。

そして…等身大の可愛いオサちゃんを感じさせてくれた『I Got Music』のオサダ君!


とらえようがなく色々な顔を持つ春野寿美礼。中でも“孤高の男”がとても似合う人だったと思います。

『エリザベート』のトート、『不滅の棘』のエリィ、エロール、『ファントム』のファントム……。
最後となった役『アデュー・マルセイユ』のジェラールも孤独な男。
孤独だけれど、そこにある温かさ。それゆえの悲しみ淋しさを観客は熱く感じ涙しました。


春野さんを語るに真っ先に出てくるのが“抜群の歌唱力”。
『エリザベート』『ファントム』といった歌中心のミュージカルでの解き放たれたように流れる歌は、どれを聴いていても震えるほどの感激を与えてくれました。
『TAKARAZUKA舞夢』「世界の終わりの夜に」をはじめショーでの数々の名場面も素晴らしい。

春野寿美礼の歌——それは、声に頼るのではなく旋律を歌うのではなく、歌詞に込められた想いや、底に流れる時や人物の生き様をしっかりと表現したものでした。

舞台という虚構の空間で、観客をいかにその気にさせるか……。
観る者を完全燃焼させてくれたエンタティナー。